CASE.3 ファイザー マネジャーに効果的効率的なトレーニングを! 現場の実践の中で役に立つ内容と 上司のOJTを組み込む内製研修
ファイザーでは新任・若手マネジャーを育てるため、より現場の要求に沿った研修を提供できる仕組みづくりを行っている。ここ3年は「必要な人に、必要な時に、必要な研修プログラムを提供する」をコンセプトに、社員育成研修のパッケージ化を推進。
新任マネジャーには1年間の「新任管理職研修」と2年間の「新任ラインマネジャー研修」という長期パッケージを用意した。そこには、上司によるOJTもプログラムとして組み込んでいる。
●背景重なりや機会損失をなくす
製薬企業であるファイザーは1953年に日本市場へ進出。日本法人として60年もの歴史を持ち、社員教育も、グローバル統一のプログラムに加え、日本独自の視点で行ってきた。ここ3年ほどは、集合研修の見直しを行っている。理由は効率化と効果アップだ。GCOトレーニングスキル能力開発チーム部長の田柳勝男氏はその経緯をこう語る。
「ここ10年、企業規模が大きくなるにつれて、管理職のポジションも増えました。それと同時に研修も増えたのですが、徐々に非効率的なことも起きてきました。同じ内容のものを何度も受講することになったり、必要なタイミングでほしい研修が受けられなかったり。そこで3年ほど前から研修の整理と見直しを始めたのです」
見直しのコンセプトは「必要な人に、必要な時に、必要な研修を提供する仕組みを構築する」というもので、以下の3点がその特徴である。
1.昇格や昇進といったキャリアの節目、一番知識やスキルを必要としている時期に研修を集中させ、スタートアップを支援すること
2.研修内容も組織のニーズに柔軟に対応し、業績に本当に貢献する研修プログラムを提供すること
3.マネジャーの上司たちを研修に積極的にかかわらせ、その効果を確実なものとすること
集合研修でポイントとなるのは、管理職およびラインマネジャーへの昇格時だ。「管理職」昇格は一般社員から会社側へのキャリアアップの節目。「ラインマネジャー」は組織・チームのライン長として、部下を持つことになる。これまでは、この2つの昇格研修の位置づけが曖昧で、同じような内容となっていた。そこでコンセプトを明確にし、分けることにした。「新任管理職研修のコンセプトは『キャリアデザインとマインドセット』、新任ラインマネジャー研修は、『部下を指導、育成し、チームをマネジメントする』にフォーカスした内容へと見直しを行いました」(田柳氏、以下同)こうした施策に変更したのは、次のような理由もある。