CASE.2 オリエンタルランド 「強化」ではなく「支援」 組織・多面診断やメンター制度―― 内省機会と精神的支えを豊富に用意
組織診断や多面診断、メンター制度等、新任マネジャーへ手厚い施策を行っているオリエンタルランド。その施策の数々を貫くのは、同社ではマネジャーの「強化」ではなく、「支援」を行うのだという骨太の方針だった。
「オリエンタルランド流 新任マネジャー育成・支援法」とは。
●ある取り組みの中の一コママネジャーの“語り場”
8~10人のマネジメントが一堂に会し、何やら話し合っている。全員、マネジャーたちだが、部署はバラバラ。ファシリテーターはいるものの、研修のワークショップというわけでもなさそうだ。いったい彼らは何を話し合っているのか――?
オリエンタルランドでは、「MGR課題共有会」と銘打ち、マネジャーが情報交換をする機会を設けている。「部下とうまくコミュニケーションをとるには?」「効率よく成果を出すタイムマネジメントのコツとは?」「年上の部下を上手にマネジメントするには?」。毎回、テーマを決め、マネジャーが抱えやすい問題について話し合う。「壁にぶつかった時どう乗り越えたか」といった具体的な体験や教訓など、リアルな知恵を交換できるのが魅力であり、経験の浅いマネジャーにも参考になる話が多い。
終了後は夜の親睦会へ。昼間は口にしなかった体験や思いが、どっと溢れ出すことも。「最初は『いったい何が始まるんだ?』という感じで、皆すごく緊張していましたね。『これは人事主導の研修ではなく、マネジャーが会社の中核になって、オリエンタルランドを進化させていくためにどうしたらいいか、皆で一緒に考える勉強会です』と伝えました。人事評価とは関係のない会であることをわかってもらうため、人事ラインとは別にマネジャーへ直接働きかけるチームとして担当部長を2名、専任でつけています。我々の目的は“教育”ではない。あくまで彼らを“支援”することなのですから」(人事本部人事一部長東郷治人氏)
●背景鉄は熱いうちに打つ
「“支援”して育てる」という方針は、そもそも2009年に打ち出された、と東郷氏は振り返る。2009年といえば、オリエンタルランドにおける大きな節目の年だ。同年3月、上西京一郎氏が社長兼COOに就任。
「『マネジャー育成に特に力を入れよう』と、当時の人事本部長が大きく旗を振りました。次の時代の成長は今の延長線上ではなく、もう一段、シフトアップしたところにある。これまでとは違った成長ベクトルへと切り替えなければならない。その時に中核となるのがマネジャーたちだと。そこでスタートしたマネジャー育成施策の一環として、新任マネジャー向けの施策も始めたのです」(以下、付記がない場合は東郷氏)
同社の支援型育成の最大の特徴は、そのきめ細かさ、手厚さにある。さまざまな施策があるが、大きく分ければ、「マネジャーの役割や基礎を学ぶ機会」「内省・気づきを促す施策」になる。