めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第5回 マネジメントの極意はスポーツ界の名将に学べ
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須。本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた、情報のプロが最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
前号までビジネスパーソンが意識しておかなくてはならないテーマを大きく3つ(未来予測、ビジネスモデル、異業種・他業界に学ぶ)、取り上げてきた。今回は、少し趣向を変えてお届けしよう。私はスポーツ観戦が趣味ということもあり、さまざまなスポーツの監督に関する書籍を読むのだが、ここからビジネスヒント(特に人材育成に関する)を得ることが非常に多い。日本においてはあまりにも有名だが、野村克也氏の著書(ざっと数えても80冊!)はマネジャークラスの方から以前より大いに参考にされている。最近では、中日ドラゴンズを率いた落合博満氏の『采配』(ダイヤモンド社)がベストセラーになり、そのマネジメント手法が注目された。また、その落合監督を支えた森繁和ヘッドコーチによる著書『参謀』(講談社)も話題となった。企業においては今、二番手の人材、すなわち「参謀」の重要性が1つのカギとなっている(本誌読者はきっとおわかりのはず)。名将とその右腕の関係性はスポーツ関連書籍から相当学ぶことができる。ビジネス書という視点においても、落合監督の大ファンである小山龍介氏がそのマネジメント手法をシリコンバレーの最先端マネジメントに通じると分析した『ビジネス・マネジメント・スタジアム』(フォレスト出版)を発刊、それは興味深い内容であった。日本の名監督の手法が書かれた書籍はぜひ読んでいただきたいのだが、私がさらにお勧めするのは「海外の名将に関する著書から学ぶ」という発想である。カルロス・ゴーン氏をはじめとする外国人名経営者の書籍を読むのと同等の価値があると経験上断言できる。中でも有名フットボール(サッカー)チームであるFCバルセロナやマンチェスターユナイテッドに代表される伝統あるチームのマネジメント・人材育成手法やその考え方には大いにインスパイアされていただきたい!勝負(企業間競争)の場において、監督(社長)がゲームプラン(経営ビジョン・事業計画)をどうコントロールし、コーチ(部課長)にどう伝達し、選手(社員)をどう動かしていくのか、あるいは名選手(優秀社員)に育て上げていくのか……、そしてどう勝利(業績向上・トップシェア獲得)を収めるのか……。置き換えて考えてみると、自身の職場に当てはめられる参考事例をいくつも見つけられるはずだ。