人事の職場拝見! 第32回 社員の活力が企業の成長力 人材育成チームが起こす組織風土改革
今いる人材を大切に、磨き、鍛えて、新たな未来と事業に“創造と挑戦”を繰り広げているセイコーエプソン。「社員一人ひとりの成長が、会社の成長」という信念を体現するために人材育成のチームが取り組んだのは、教育・育成の枠を超えた組織風土改革だった。
育成の主役は現場の上司OJTで部下も課長も学ぶ
セイコーエプソンでは、“人材”をかけがえのない経営資源と位置づけ、人材開発に取り組んでいる。そうした中で2012年、管理職層を中心に教育・研修体系を刷新。特に現場社員に最も近い課長層の教育と意識改革を重点に、内製による課長候補者へのマネジメント研修の新設などを図った。人事本部人事部の赤沼典昌氏は、「課長になってすぐ力を発揮できるように研修のタイミングを早めました。また、社内講師が社内事例を踏まえて講義することで、現場に即した内容になり、職場で実践しやすくなりました」と話す。一方で、主任の教育・研修カリキュラムも大幅に変更した。それまで2日間の集合研修で、意識変革し行動計画を作成するにとどまっていたプログラムに、経営課題を考察し視野を広げるための事前学習と、課題達成のための具体的なスキル付与のプログラムを加えた。さらに、課長によるOJTを通して行動計画を完遂する3カ月の実践フェーズを設け、その後のフォローアップ研修で成果を確認するカリキュラムとした。「たった3カ月ですが、意識や行動に変化が現れ、成果が出ています。さらに、教育する側の上司にも効果が出ました。実はこのプログラムには、上司を教育の主役にしたいというもう1つの目的があります。若手の成長を支援する機会を意図的に設けることで、課長自身にも課長研修で学んだことを実践してもらっているのです」