ワンワード論語 第13回 「言」
ビジネスに限らず、人生で最も失敗を呼び込みやすいものなのに、頼らざるを得ないのが、発言や文章などを意味する「言」です。
人の心は見えません。しかし、営業や商談の場となると、“見えない”では済まされません。そこで私たちは相手を信用できるかどうかを確認するために、相手の表情、しぐさ、そして何よりも発言=「言」を頼りにして相手の真意を探ります。とはいえ、この「言」、はなはだ信用の置けないものです。なぜならば「言」は、その人の本心とは関係なく、どうにでも表現できるからです。できないことも“できる”と言えますし、逆にできることでも“できない”と言えます。
●相手の心を探る危い方法
「言」の曖昧さ、そして「言」のみを頼りに相手を信用することの危うさを教えてくれるのが今月の論語1です。この章句は、孔子が自身の過ちと改善について振り返っている珍しい章句です。孔子は、宰予という弟子に、自らの過ちを教えられました。というのも、宰予は弁舌に長けるため、期待をかけていたのに行いが伴わず、信用できなくなったからです。聖人と言われる孔子ですら失敗することがあるのですから、私たちはどんなに気をつけても気をつけ過ぎることはないといえます。詐欺などにかかるのは、この過ちの典型です。