連載 人事の職場拝見! 第34回 ビームス 昨日を超える今日をつくる クリティカル思考で生み出す“考える人材”
洋服から家具、雑貨、飲食まで幅広く展開するビームス。日本の若者に人生を楽しむためのライフスタイルを提案し続けている。そんな同社の人材開発部がめざす人材育成とは、これからを担う若手社員の可能性と多様性を引き出す研修と風土づくりだった。
考える力を養い昨日の自分を超える
ビームスでは昨年、「考える人の育成」をビジョンに掲げ、それまで座学が中心だった各研修を大きく方向転換した。執行役員 人材開発本部 人材開発部本部長の戸崎良文氏はこう話す。
「ビームスならではのエッセンスも盛り込んではいましたが、受講者からすると一方的に与えられる研修が多かったのです。そこで、グループワークを多く取り入れ、受講者たちが自ら考え、自ら答えを見つけ、共有できるカリキュラムへと変えました」
同社には、社長が社員に向けて発信した、ビームスのあるべき姿を示す10カ条がある。中でも重視されているのが、『今日のBEAMSは、昨日のBEAMSを超えているか』というフレーズだ。
「ビームスの進化には、社員一人ひとりが昨日の自分を超えていくことが不可欠です。それには、各々が自ら考えるような教育が必要なのです」
そこで、戸崎氏が教育・研修の軸に据えたのが「クリティカル・シンキング」である。自分自身を見つめ直し、論理的・構造的に考えられているかチェックしながら思考を進め、実際の行動に落とし込んでいくのだ。だが、研修の場ではクリティカル・シンキングという言葉をあえて出さないという。
「前面に出すと言葉に縛られ、教えられているという感覚に陥ります。そうではなく、意識せず自然と自問自答してもらうことが重要なのです」