連載 ワンワード論語 第15 回 「敬」
いつでも、どこでも、人として見失ってはいけない心、それが「敬」です。ではその心を、オフィスでどう用いればいいのか学びましょう。
今回の「敬」というワードは、尊敬や敬意、敬礼といった言葉で見慣れたワードですね。この、「敬」の偏である「苟」は「羊の角+人+口」で構成されます。羊の角に触れて人がはっと驚いて身体を引き締めていることを示します。そこから、身体を引き締めてかしこまる、身心を引き締めて丁寧に応対する“うやまう”という意味、そして自分の役割や立場をわきまえて振る舞うといった“つつしむ”という意味が生まれました。
● バランス
この「敬」、人間と動物を決定的に区分する心です。愛や優しさは動物も持っています。しかし、「敬」の心は人間にだけ与えられたものです。極言すれば、「敬」の心を持たない人は人たりえない、とまでいえる、大切な心なのです。
『論語』にこうあります。
「犬馬に至るまで、皆能養うあり。敬せずんば、何を以て別たんや。」(為政第二)