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月刊 人材教育 2014年02月号

ワンワード論語 第18回 「憂」
「志」を持って進んでいくと、いくつかの「憂」、悩みが出てきます。この悩みとどう向き合っていけばいいのかを学びましょう。

悩みというのは、多くの人にとって、絶えることがないものです。“悩みがないことが悩みです”という方もいますが、自分のことを真摯に考えれば考えるほど、自ずと悩みはつきまといます。今月は、悩みや心配事を表す「憂」について一緒に学びましょう。
頭と心が悩ましい
「憂」という字は、人の頭を示す「頁」と「心」と足をひきずる「夊」で構成され、頭と心が悩ましく足がなかなか進まない様子を表現しています。似ているワードに「愛」がありますね。愛は“あの人のことを思うと胸が詰まり足が進まない”ということが表されています。今月の論語1は、古今、数え切れないほど多くの人々を励まし、折れそうな心を支えてきた教えです。心配症の私などは、この教えに何度救われたことでしょう。失敗したくない、叱られたくない、責任を追及されたくない、非難や批判されたくないと思った時や、思い通りにならないことが起こるかもしれないと予感した時などに、心に「憂」が芽生えます。この「憂」、あれこれ思案していく(育てていく)と「患」=悩みが数珠つなぎになって、妄想状態になります。さらに悩み続けると、心のことから体にまで変調をきたす「病」に至ります。
プロフィール

ビジネス論語スクール主宰、(財)岩崎育英文化財団勤務。幼少から40年論語を学びSE、PM、経営企画他、多くのビジネス現場で実践を積む。ビジネス論語の伝播活動として企業等で講演等を実施する。日本経営品質賞審査員他。
[イラスト] = 秋葉 あきこ