おわりに おもてなしVS生産性ではない
海外から称賛される日本企業のおもてなしとは、どんなものなのだろうか。調べてみると、「日本のガソリンスタンドでは無料で窓を拭いてくれて、最後に車道に出る時には、安全に出られるよう誘導してくれる」「日本のファミリーレストランや居酒屋では店員を呼ぶ『呼び出しボタン』があり、押すとすぐに来てくれる」といったことがWeb上では話題になっている※1。また、ニューヨークで顧客の8割が米国人という日本人経営のヘアサロン「モモタロー」では、シャンプーの丁寧さやツボ押し、日本のストレートパーマの技術が好評を博している※2。
いずれも、無料にもかかわらず行き届いた心遣いや、機械化を含めた効率のよいサービスなどが称賛されているようだ。
おもてなしの本質
そもそも、こうした日本の「おもてなし」の本質とは。それについては特に、OPINION1の岡本正耿氏(32ページ)と、COLUMNの大日本茶道学会 田中仙堂氏(52ページ)が述べている。岡本氏によれば、そのベースは「礼儀」と「謙遜」、そして「教養」だ。教養によって磨かれる誠実さやひたむきさが、自社の「お客様」に向かった際に発揮される真摯な気持ちと姿勢、行動である。