ワンワード論語 第21回 「富」
財産は多いに越したことはありませんが、それが全てなのでしょうか。今月は、この財産やお金を意味する「富」について学びましょう。
『論語』は禁欲的なことを教えている。ひいては金儲けなど金に関することを否定しているだろうから現実的ではない、だから自分は読まない、とおっしゃる「読まず嫌い」の方が時々います。ベースが漢文であり道徳だからと、堅苦しく受け止めてしまうのは無理からぬこと。では実際、孔子は資産をどう捉えていたのでしょうか。
●お金を肯定
それがよくわかるのが今月の論語1の前半です。2500年前の人々も私たちと同じで、何よりも「富」(財産)、そして「貴」(肩書き)などの名誉を求めていたのですね。孔子は、そんな私たち人間の欲望を肯定していたことがわかります。
●悪銭身につかず
ポイントは教えの後半です。“其の道”とは、正しい方法や手段ということです。それを用いずに、道に外れた行為をして得た利益や財産は、“處おらざるなり”、保てないでしょう、と説きます。