MOVIE 人事に役立つ映画 最終回|「なんとなく」の呪縛を「丁寧に」解く 樋口尚文氏 映画評論家 映画監督
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栃木県日光市の小学生がランドセルが重いことの弊害を解消すべく、ランドセルに装着してキャリーケースのように動かせるタイヤ付きスティックを考案して注目された。「さんぽセル」と名づけられたそのツールが考え出されたことには、大きな意義があると思う。それは誰もが思いつきそうな単純なアイデアそのものというよりも、こんな簡単なアイデアで解消できる悩みを、なぜか誰もが看過してきたことに対するアンチテーゼだったということだ。なんでも小学校中学年のランドセルの重さは5キロ近くあって、自然なからだの成長に無理がかかったこともあるかもしれないのに、「重いものを背負っていたほうが力がつく」「両手が空いたほうが安心」といった「なんとなく」の理由で何十年もの間、それを解消しようという発想を誰も抱かなかった。