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月刊 人材教育 2014年02月号

人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第17回 『生きる』

『生きる』は、言わずと知れた戦後日本映画の名作であり、『七人の侍』と並ぶ黒澤明の代表作である。主人公の渡辺(志村喬)は、女性職員からミイラというあだ名をつけられるほど生気がなく、いるのかいないのかわからないほど存在感も薄く、ただ書類にはんこを押しているだけの役所の課長である。そんな無欠勤だけが取り柄の退屈な人間が、胃がんで余命幾ばくもないことを知る。渡辺は途方に暮れて、貯金をおろして何かに使ったり無断欠勤をしたりと、周囲を驚かせる行動を取るのである。だがやがて、自分にもまだ何かできると気づき、生まれ変わったようになって、子どもたちのために公園をつくろうと奮闘する。
プロフィール

1954年生まれ、メディア・エンタメ時評。中央大学大学院法学研究科修士課程修了(政治学修士)。シンクタンク勤務後、企業や自治体などで研修講師を務めつつ、コメンテーターとして活動。著書に『歴史を知ればもっと面白い韓国映画』『映画が語る昭和史』(旧・ランダムハウス講談社)等がある。

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発売・販売元:東宝
胃がんで余命幾ばくもないと知った公務員が、公共に資する仕事を成し遂げようと奔走する姿を描く。1953年度ベルリン国際映画祭で「Special Prize of the Senate of Berlin」(ベルリン上院陪審賞)を受賞。