人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第17回 『生きる』
『生きる』は、言わずと知れた戦後日本映画の名作であり、『七人の侍』と並ぶ黒澤明の代表作である。主人公の渡辺(志村喬)は、女性職員からミイラというあだ名をつけられるほど生気がなく、いるのかいないのかわからないほど存在感も薄く、ただ書類にはんこを押しているだけの役所の課長である。そんな無欠勤だけが取り柄の退屈な人間が、胃がんで余命幾ばくもないことを知る。渡辺は途方に暮れて、貯金をおろして何かに使ったり無断欠勤をしたりと、周囲を驚かせる行動を取るのである。だがやがて、自分にもまだ何かできると気づき、生まれ変わったようになって、子どもたちのために公園をつくろうと奮闘する。