e-ラーニング・ソリューション・プラザ 【第27回】 SE の財務・会計教育を市販コンテンツで実施

製造業向けの情報処理システム構築を手がける横河情報システムズ(本社・東京、従業員数645 人) では、社内の管理職とSE 約100 人に対して、日常業務に必要な財務・会計の基礎知識を習得させるe-ラーニングを実施した。コンテンツはネットスクールが市販している「キャリアアップシリーズ」を採用。従来の講義さながらの内容が、受講者から高い評価を得ている。
1. SEにも欠かせない財務・会計講座
2003 年4月、横河電機グループの情報ソリューション企業3社(システムプラザ、横河テクノシステム、横河インフォテック)が合併して誕生した横河情報システムズ。 ITが企棠の経営改革や課題解決に欠くことのできない存在としてますます重要度を高めているなか、3社の技術力を結集し、製造業に特化しか情報ソリューションプロバイダーとして、システムのプランニングから開発、運用、保守までトータルサービスを提供している。
人材については、自ら考え、行動し、実践できる自律した目固」の育成を目指している同社は、社員に一律に同じ研修機会を提供するのではなく、必要な者が、必要な時に、必要な教育を自ら学べる仕組みを構築するべく、e,ラーニングについても積極的に取り組んでいる。
前身企業の1社である横河インフォテックでは、e-ラーニングプラットフォーム「ActiWise 」を開発し、e-ラーニング事業を推進。社内でも2年前から社員の技術教育にe,ラーニングを導入し、コンテンツを社内で制作しながら普及と定着を図ってきた。しかし、e-ラーニングの社内展開を取りまとめてきた太田一史氏によれば、e-ラーニングは社内になかなか浸透しなかったという。
「当初は市販のコンテンツも数少なく、オーサリングツールを使って自前でコンテンツを制作してきましたが、1つのコンテンツを作るにも膨大な工数がかかります。講座数をなかなか増やせないことが、多くの社員に利用されない要因にもなっていました。そこで、その後徐々に種類が充実してきた市販のコンテンツのなかから優れたものを導入し、e-ラーニングの社内での定着を図ろうと考えました」
さまざまな市販コンテンツを検討するなかで、同社が全社的な導入を決めたのが、ネットスクールの財務・会計コンテンツだった。 e-ラーニングによる社内教育の推進を担当する福田敬之氏は、ネットスクールのコンテンツを採用した理由について、次のように語る。
「当社の業務はビジネス系のアプリケーション開発なので、基本的にビジネスの実務が理解できていないと仕事になりません。技術教育ばかりでなく、こうしたビジネス実務の教育の必要性は以前からいわれており、財務・会計知識もその1 つでした。この分野については、既に2、3 のコンテンツをサンプル版で評価しましたが、これでは本を買って勉強した方がいいと思えるような程度の内容でした。それに対して、ネットスクールのコンテンツは授業経験の豊富な講師によって作られただけあってわかりやすく、これなら学習を始めるうえでの敷居も低く、初めての人間でも学習できると感じました」
もともとActiWise は市販のコンテンツにも対応するためe-ラーニングの国際標準規格であるSCORM に準拠して開発されており、同社では当初、SCORM に対応したコンテンツなら問題なく利用できるだろうと考えていた。しかし実際に各社のコンテンツを試してみると、細部で不具合が生じ、ActiWise 上で使用するにはコストの掛かるカスタマイズが必要なケースも少なくなかった。この点では、ネットスクールのコンテンツはレイル社のSCORM 対応オーサリングツールLiveCreator でオーサリングされており、LiveCreator のテストコンテンツとActiWise との動作確認は既にできていたので、余計なコストを掛けることなく導入することができたという。