ASTDカンファレンス分科会パネルディスカッション① エグゼクティブ・コーチングプログラムの運営: トレンドと優秀事例

アメリカでは既に一般的になっているエグゼクティブ・コーチング。経営環境の厳しいなか、経営幹部層は自らのリーダーシップ・スタイルの変更を余儀なくされている。そのような時、コーチから経営幹部層へのアドバイスやフィードバックは、スキル面においても心理面においてもプラスに働くうえに、組織開発に大いに役立つものだ。米国エグゼクティブ・コーチの第一人者と、導入企業3 社が、導入状況と有効性について報告した。
エグゼクティブ・コーチングの企業への浸透
主にトップエグゼクティブや基幹人材の能力開発を目的に、1対1でアセスメントのフィードバックから、振り返り、行動計画管理を行い、精神面やスキル面のサポートを行うエグゼクテイブ・コーチング。 90年代から米企業における導入は進み、存在意義は飛躍的に高まった。
本分科会では、エグゼクティブ・コーチングを社内に導入、実施しているフォーチュン100 にランキングされる3社がパネルに参加。エグゼクティブ・コーチのサービスを提供しているマンチェスター社のマーカス氏を司会に、制度の設計、実施、効果測定などに関する討論が行われた。
エグゼクティブ・コーチングの導入状況
4~ 5年前まで、多くの企業はエグゼクティブ・コーチングの導入を考えているという段階だった。しかし、今回のパネル討議では、参加者側の3分の1が何らかの形でエグゼクティブ・コーチングを社内に導入。社外の立場でコーチを行う「外部コーチ」および、社内スタッフの立場でコーチを行う「内部コーチ」を担当する参加者が3分の1だったことを考えると、いかにエグゼクティブ・コーチングが企業のリーダーシップ開発のなかに浸透しているかがうかがえる。
実際に参加者側からの質問も、エグゼクティブ・コーチングの効果測定・ROIや、コーチングの手法、外部コーチと内部コーチの比較など、具体的なものが増えていた。
ノースロップ・グラマン社の場合
航空宇宙産業界の大手、ノースロップ・グラマン社(社員数12 万人)は、90 年代からM&A戦略を続け、特に2001、2002年には、同規模の競合企業2社と合併。異なる組織文化を持つ企業との統合により、社内には新しいトップ、目標、組織が生まれ、不安定な時期を迎えていた。
「買収により3,000 人規模の企業のトップであった大が、12 万という巨大企業のトップになり戸惑うこともあります。