連載 起業するイノベーターたち [第10回] 広域ネットで 顧客本位の木造住宅を造る
![連載 起業するイノベーターたち [第10回]
広域ネットで
顧客本位の木造住宅を造る](/wp-content/uploads/temp_image/5334/1551546262.png)
中小・ベンチャー企業の創業者、後継者の実話から変革への要点を探る
いま、住宅業界にちょっとした異変が起こっている。大手ハウスメーカーの不振が続くなか、ひところ弱者と見られてきた地域ビルダー・工務店が盛り返しているのである。そのリーダー的存在なのがアキュラホームの宮沢俊哉社長である。旧態依然とした業界体質に失望し、新しい住宅供給のあり方を求めて起業。以来、全国のビルダー・工務店の先頭に立って、「顧客本位の良質で低価格な住宅供給」を続けている。
日本一の木造住宅提供グループ
国土交通省が発表した2002年度の住宅着工件数は、折からの不況と少子化の影響を受けて前年度比2.4%減の約114万5,000戸と、3 年連続の前年割れとなった。また、持ち家に至っては3.1% 減の36 万5,000戸と、37年前の水準にまで落ち込んでしまった。この傾向は今後も続き、2003年度の住宅着工件数112 万戸、このうち持ち家は35 ~36万戸と予想。さらに2010年には住宅着工件数の100 万戸割れが予想されている。
このように、住宅業界を取り巻く環境は厳しく、2002 年度は大手住宅メーカー3社が赤字に転落。住宅FC(フランチャイズチェーン)、VC(ボランタリーチェーン)による供給数も減少し、多くのグループが減収減益に陥っている。
しかし、そんな住宅業界のなかにあって、まるでバブル期を思わせるような好調な伸びを示している企業グループがある。埼玉県のビルダー、アキュラホームの宮沢俊哉社長を主宰者とする地域ビルダー・工務店の家造りネットワーク、「アキュラネット」がそれである。
本年3 月末現在のアキュラネットの会員数は516 社。前年度に比べ会員数は1社増とほぼ横ばい状況でありながら、2002 年度の木造住宅受注棟数は、前年度比121% に相当する6,631 棟を記録した。これは、前年度とほぼ同数の会員企業で、約1,200 棟の受注増を達成したものであり、不況下にあっては驚異的ともいえる数字である。そればかりか、2002 年度、アキュラネットの受注棟数は、国内に約200 グループほどあるとされる住宅FC、VC組織の頂点に立ったのである。
広域ネットで力を増す

アキユラホームには3つの顔がある。
1つは埼玉県一円を営業圈とするビルダーとしての顔。