連載 起業するイノベーターたち 第15回 60 年かけて 「美の産業革命」を実現する

中小・ベンチャー企業の創業者、後継者の実話から変革への要点を探る
「カットのみ」が1,480 円、「おしゃれ染め」が2,780 円一一。埼玉県を中心とする関東エリアで、メニューのほとんどが通常の美容室の半値以下という、格安美容室チェーンが人気を呼んでいる。チェーンを展開する日鳥大和(にっちょうやまと) の斎木幸次社長は、多くの苦難を乗り越え、店舗経営をシステム化し、マニュアル・教育・店舗展開・商品開発を一貫してコントロールする、それまでの美容室経営にはない革新的な経営スタイルを確立した。
元祖、カリスマ美容師
話題の美容室は、ファミリーヘアケアショップの「美容室ガルーダ」。驚くのは価格ばかりではない。技術、サービス、商品の品ぞろえ、そのどれをとっても業界のトップ水準をいく美容室なのだ。
「美容室ガルーダ」は「美の産業革命」を目指す囗鳥大和の直営店。このほか直営店には、カラー&ヘアカット専門店「ミスターコーダ」、女性専用のトータルコーディネーションサロン「ミス・ガルボ」など、タイプの異なる店がある。現在の店舗数は総数で60 店。目標はずばり世界一の美容室チェーンにすることだという。
斎木幸次社長は、かつて全日本のコンクールで優勝した経験を持つ、元祖カリスマ美容師。その斎木氏が、苦心の末につくり上げた顧客本位の店舗経営システムがいま、大きく開花し始めたのだ。
動作訓練を取り入れた教育システム
同社の強みは、顧客の満足を大前提に価格、商品、教育、店舗、立地のすべてにわたり戦略的なマーケティングを策定し、革新的なビジネスモデルをつくり上げた二とだ。徹底したシステム化によって高品質な技術ばかりでなく、コーディネート商品の価格も業界平均の半値とした。また、高品質の整髪料、ファッション用品、ヘルス用品などを自社輸入し、独自のラインアップも図っている。なかでも特筆に値するのが教育システムである。
職人的美容技術を徹底的に分析し、マニュアル・マネジメント・トレーニング・プログラム(MTP) を確立。全くの未経験者でも、研修センターで集中的にトレーニングすることにより、わずか9ヵ月で技術を習得できるようにした。
MTPには技能のほか接客に関するきめ細かな動作パターンが組み込まれており、作業の効率アップと同時に質の高い顧客サービスが身につくようにエ夫されている。
新入社員は全員、基本的なサービス内容を3日間で学ぶ。