連載ユニオンルネサンス 第4 回 Part 1 日本サービス・流通労働組合連合(サービス・流通連合) 会長 桜田高明氏に聞く 労働組合の今後の主要テーマは 「質の高い個人」の育成
現在、社会のあらゆる側面で“個”の多様化が進んでいるが、流通・サービス産業の産別労組、サービス・流通連合(以下、JSD) では、いち早く“個” にスポットを当てた新たな労働組合運動を模索。同時に労働運動の社会化を推進するなど、その取り組みは労働組合の将来像を描くうえでの1つの指標になりつつある。 Part 1 では、JSDの桜田高明会長にご登場いただき、労働組合の未来像を語っていただいた。
重要なことは、働き方の変化に対応すること
現在、雇用環境や社会環境が変化するなかで、労働組合は時代に対応できないのではないかと指摘されることが多くなっています。現在の労働組合が置かれている状況をどのように捉えられていますか?
桜田
労働組合の原点は、働く1人ひとりが人間らしく、心豊かに生きていくことができる社会を築くことにあります。戦後の労働組合運動を振り返っても、労働組合の活動が、経済成長や国民生活の向上に寄与してきたことは紛れもない事実だといえるでしょうO
しかし、現在、さまざまな分野で構造改革が進展し、人材の流動化や多様な就労形態が生まれています。ともすれば、すべてが個別対応、すなわち労働組合抜きで進んでいくような錯覚に捕らわれがちですが、私は、労働組合が不要になることはないと考えています。というのは、多様化すればするほど、公平な働き方のルールづくりや、経営に対するチェック機能、さらには人事評価等に関する苦情処理機能などが必要とされるからです。
現在、国際競争力を強化する観点から、リストラを推進する企業も少なくありませんが、いくら経営を身軽にするためだといっても、働く人々を安易に放り出してしまったら、社会はおかしくなってしまいます。社会的な視点から見れば、長期的に安定した雇用システムを構築していくことが大切ですし、労働組合の存在意義はむしろ高まってきているのではないかと考えます。