連載 ユニオンルネサンス 第5 回 Part 1 情報産業労働組合連合会( 情報労連) 中央執行委員長 小野寺良氏に聞く 新たな時代へ対応すべく、 社会的役割・機能を捉え直す

21 世紀の中心産業である情報産業に働く人々で構成される労働組合を傘下に収める情報産業労働組合連合会(情報労連)。時代の最先端を行く産業だけに、労働組合としての時代対応力が問われる。今回は、中央執行委員長の小野寺良氏にご登場いただき、21 世紀の労働組合の新たな役割について話を伺った。
多様な働き方を前提とした分かち合い、支え合い
時代が大きく変化しているなかで、労働組合の存在意義を問う声が高まっています。これまでの労働組合を振り返った時、現在の労働組合の問題点はどこにあるとお考えでしょうか。
小野寺
高度経済成長までは、組合員のだれしもが豊かになりたい、人並みの暮らしをしたい、という欲求を抱えていました。また、経済成長のなかで経営的にも余裕があり、要求したものが実現していく過程を通して、労働組合に対する求心力も向上していったといえます。
しかし、がってのような経済成長を望めない今日、画一的なスローガンの下に組合員を結集することは困難です。労働組合に求められているのは、大量生産時代の画一的・一律的な対応を克服し、いかに個別化した組合員の要求に応えるだけの豊富なメニューを提供できるかということ。また、単組、産別、ナショナルセンターが改めて社会的役割・機能を捉え直し、新たな時代への対応を始めることではないでしょうか。
労働組合運動の再構築という点では、雇用や賃金についても大きな変化が生まれています。その点についての労働組合の対応をどう見られているのでしょうか。
小野寺
高度経済成長期といまの状況を比べてみると、明らかに異なる点があります。それは、以前の雇用調整は、パートタイマーなどの非典型社員を対象としたのに対し、今日のそれは正社員をパートタイマーや派遣社員に置き換えていくことが主流であるという点です。