連載 新しさは足下にあり 第7回 豊かな人生とは何か

幼年教育の核

人間の基本は、人間としてのあり方であり、その一生の過ごし方にあります。
最近は、この最も重要な人生の要諦が等閑にされ、目先の利得のみに走る傾向にあり、現代人の大いに改めるべき点であります。
そこで、この点を中国古典ではどのように説いているのかを見てみましょう。
まず中国古典は「孝」を説きます。人間が生まれて初めに出会う人間はだれでしょうか。それは母親であり、父親です。これは人間にとって最も大切な出会いなのです。大きく深い意味があります。
まず母親からは、女性というものを教わります。さらに母親からは、母の愛情「茲」を知ります。次に父親からは、男性というものを教わり、父親の愛情「義」を知ります。
この世は女性と男性からできているわけですから、この両性の特性をよく知ることは、その後の人生にとって計り知れない価値をもたらします。
また、両親からは、「無償」ということを教わります。対価を求めない愛や行為、それを与える時の父母の姿勢や言動を知ります。
無償の愛や行為がどのようなものかをよくよく知ると、有償というものがよくわかるようになります。