連載 調査データファイル 雇用・人事システムの構造改革 第38回 労働関連法改正への対応①

不況や規制緩和の影響を受け、近年、解雇と賃金をめぐる労働紛争が増加傾向にある。特に個別労働紛争は大幅に増加しており、なかでも解雇に関するものが最も多い。これまで、労基法でも解雇に関する明確な規定が示されていなかったが、2003年6月の一部改正に伴い、ようやくルールが明確化された。悪質な解雇が横行しないようになることを期待したい。
1. 急増する個別労働紛争
バブル経済が崩壊しか以降の不況過程で、リストラや倒産・廃業によって多くの人が会社を去っている。退職が不可避な倒産・廃業はともかくとして、リストラによる雇用調整は、最悪の場合、解雇といった事態になる。
終身雇用制に揺らぎがなかった時代とは異なり、1990年以降の深刻かつ長期化した不況によって、労働紛争は増加傾向にある。しかも、この不況下で労働市場および労使関係に関連した法律の改正が相次いで行われ、規制の緩和ないしは撤廃が急速に進展してきたことも、労働紛争を増加させている。
労働関係の民事通常訴訟事件における新受件数の推移を見ると、平成6年から8 年にかけて横ばいに推移した後、増加に転じ、平成14 年には2,309 件にまで達した。平成6 年の約1.5 倍となっている(図表1 )。
また、個別労働紛争解決制度の実績も増加傾向にあり、平成14 年度の上半期と下半期を合計すると、相談件数は62 万5,572 件。このうち労働関係法上の違反を伴わない民事上の個別労働紛争に関する相談件数が10 万3,194 件となっている。いずれも、下半期の件数が上半期を上回っており、増加傾向が顕著になってきている(図表2)。
なお、個別労働紛争の内容は、いずれも解雇(相談で28.6% 、あっせん申請で伍o %) が最も多く、次いで労働条件の引き下げ(同m5 %、10.4%) となっている。あっせんに関しては、平成14 年度に手続きを終了した2,882 件のうち、合意が成立したものが1,086件(37.7%) 、自主的解決等により申請が取り下げられたものが394 件(13.7%) 、あっせんを打ち切ったものが1,388 件(48.2%) となっている。処理に要した期間は、96.5 % が3ヵ月以内となっている。
就労状況は、正社員が69.5% 、パート・アルバイトが13.2% 、派遣労働者・期間契約社員9.3% となっている。事業所の規模は、10 ~49 人が28.7% 、10 人未満が17.9% 、50 ~99 人が9.5%となっており、半数強の56.1% が小零細規模の事業所が占めている。また、労働組合のない事業所の労働者が55.7% を占めている。
以上のように不況や規制緩和の影響もあって、近年、解雇と賃金をめぐる労働紛争は増加傾向にあり、とりわけ個別労働紛争は大幅に増加してきている。紛争の半数以上は100 人未満の小零細事業所で起きており、非正社員の占める割合も2割を上回ってきている。
こうしたなかで、労働紛争の解決に要する期間は、短くなってきているとはいえ、民事通常訴訟事件で12 ヵ月を要している。個別労働紛争解決制度に関しては、大半が3 ヵ月以内に処理されている。