新連載 現場支援のe-HRM 第1 回 ROIの視点で人事システムを捉えることが 戦略的H R M の実現につながる

「オペレーションの効率化」「戦略人事への変革」が人事部門の課題と言われて久しい。これらを実現するためには、ITシステムの有効活用が不可欠な要素となっている。「強い人事」を構築するために、e-HRM 、ERP (Enterprise Resource Planning) 、LMS(Learning Management System) といったシステムを流行り言葉で終わらせるのではなく、どのようなビジョンの下でいかに構築し、使いこなしていけばいいのだろうか。当シリーズでは、毎回システムベンダーのトップの考え方と導入事例を紹介し、人事システムの有効な活用法を考察する。初回は、日本発のパッケージソフトを提供し、国内の大企業向け人事・給与システムのシェアでトップのワークスアプリケーションズ・牧野CEOに、人事システム導入の考え方について伺った。
バックオフィスのシステムはROIの観点からホ食討すべき
企業の情報投資は、二つに大別することができる。一つは企業の収益向上に直接結びつくようなシステムへの投資。もう一つは、人事を始めとしたバックオフィスで、あくまでも業務の合理化・効率化のために導入されるシステムへの投資である。これらの投資効果を測る場合、前者はマーケティングコストと同様で、システム投資によって売り上げがどれだけ伸び、どれだけ競争力の強化につながるのかが観点となるので、ROTの測定は容易ではない。それに対して後者は、単純に言えば、これまで掛かっていたコストがどれだけ減らせるかという観点になるため、ROTは測定しやすい。
欧米では、前者はシステムそのものが他社との差別化につながるため、独自に構築していくのが一般的だ。それに対して後者は、業務の効率化か図れればいいため、他社と差別化する必要はない。したがって、安価なパッケージソフトを導入するのが当たり前になつている。
欧米ではパッケージベンダーが自然発生的に登場し、ユーザーニーズに合致したことから、いまやアメリカでは日本の何十倍もパッケージビジネスが普及している。例えば、そのシステムを導入することにより年収800 万円の社員1人分の人件費を削ることができるとすれば、ユーザーは800 万円以内なら投資可能で、800 万円以上なら投資すべきではないと判断できる。これに対してベンダーは、開発費に2,000万円かかっても790 万円で販売すれば売れるとわかれば囗荊発賞をかけて人量目貶売するビジネスを艇開する
そのためにさまざまなベンダーがパッケージソフトを販売匸あっという問に二幹及したわけである。
ところが、日本ではバックオフィスの分野でパッケージソフ凵よほとんど利用されてこなかった。その理由は、業務に合ったパッケージソフトがなかったからである
日本企業では、特報投資についてはリターンがさほど求められず、コストという認識が強い。例えば机やいすはI旧I ではなく長年使ったから以い換えるケースが多いと思うが、情報投資もそういう位置づけ匚なってしまっているのが日本の現状である……万叉務の利使性ばかりに着川し、ROIの観点から投資を判断しないためコ疾米のように人件費と比較するのではなく、他社や過去と比べて鳥いか安いかで判断してしまう。その結果、ソフトウェア会社も「開発にいくらかかったからいくら払ってもらう」というビジネスを行うため、パッケージベンダーが登場してこなかったのである。