連載 WAVE 日本航空インターナショナル 長期的な視点から「キャリア開発プラン」を基軸に、 次世代リーダーの育成を目指す

本誌5 月号の巻頭インタビューでも紹介したように、JAL グループではCEOの兼子勲氏が自ら研修の場に立ち、社員の能力開発に力を入れている。これも、将来のJAL グループ経営の枢要ポストを担うリーダーを計画的に育成するためだ。今月号では、JAL グループの基幹社員を育成するプログラムの3 本柱から、「キャリア開発プラン( しごと元気Hプログラム)」を中心に、その概要とポイントを紹介する。
仕事やキャリアを「考える場」がない!?
昭和40 年代に「ジャンボ機」を導入したころ匸FAL グループでは「団塊の世代」の大量採用を行った。しかしオイルショックなどの影響もあり、日本経済が失速していくなか、その後は採用数を大きく絞り込んでいった。結果として、団塊の世代の「大量採用世代」に対して、ポスト団塊の世代として「少数採用世代」が形成されることとなった。
団塊の世代と違い、少数採用世代では少人数ゆえの上下関係の希薄さ、さらには同世代でも情報交換がままならないという現実がある。いわゆる“アンオフィシャル” な情報がなかなか伝わらない、さらには仕事の悩みや先々のキャリアを意識して語るという状況なども、十分に存在し得なかった。社内におけるコミュニケーションは明らかに不足し、これでは先々、行き詰まってしまうことは目に見えている。
「JAL グループの年齢構成を考えた場合、これまでの自分の仕事やキャリアとは何だったのか、そしてこれからどうしていけばいいのかといったことを『考える場』が必要です。特に若い世代に対してその場を設けていかなくては、会社として持たないし、組織としての体力が弱るという認識を強く持つようになりました。将来の経営層を担う総合職採用の世代には、自分のキャリアを振り返ることのできるプログラムが早急に必要」と語るのは、人事部人事企画室室長/人材開発センター長である久野哲氏。
もちろんそれは、兼子勲CEO の願いでもあり、人事部としての大きなミツションであるのはいうまでもない。
『3本柱』からなる教育・研修体系を確立
1990 年代、多くの企業がそうであったようにJAL グループにおいても構造改革や業務効率化、コスト削減などが実施されていき、「研修」の実施は、いったん横に置かれた格好だった。それがここ数年の間、何とか体制が整っていった過程で、「人材への投資」に対する意識が大きくクローズアップしてきた。
「人材への投資を怠ると、後々ボデーイブローのように効いてきます。そこで3年前から、人材に対する中期計画を策定していきました。またこの間、JAS との経営統合がありましたから、JAS も含めたJAL グループとしての新たな教育体制の整備、拡充を図ろうと、大きく舵を取っていったのです」(久野氏)
その際、まずはJAL グループ内の「教育・研修体制」をどう構築するか、ということが大きなテーマだった。社内監査からもさまざまな現場で教育不足による問題が起きており、速やかに研修計圓を立てるようにとの指摘があった。そして、その問い掛けに対する人材開発センターの「回答」が、図表1に示したJAL グループ教育・研修体系である。

一目で見てわかるように人材開発のコンセプトは、「ビジネスプログラム」「キャリア開発プラン(しごと元匍!プログラム)」「自己選択研修プログラム」の3つの柱から成り立っている。
(1)ビジネスプログラム
入社直後から経営層に至るまで、各節目で必要となる知識・能力・スキルを習得してもらうための「階層別研修」である。節目ごとのメニューを、大幅に拡充していった。
そのなかで最近、特に力を入れているのが「心元気!プログラム(ストレスマネジメント研修)」。当初から今回のJAL グループ教育・研修体系の策定企画にかかわってきた人事部人事企画室/ 人材開発センター副課長・大井由美子氏によれば、「近年、仕事や生活に関する強い不安や悩み、ストレスが原因で心身の負担を感じている方が増加しています。こうした状況下で、自分自身はもちろん、部下を持つ管理職にはストレス状態に早く気づき、コーチングマインドを持つことが欠かせません。社員の心の健康づくりの醸成を図ってもらうことを目的にマネジメント教育の一環で行っています。運行乗務員の参加率も高くなっています」とのことである。
(2)キャリア開発プラン(しごと元気!!プログラム)