連載 現場支援のe-HRM 第4 回 徹底した標準化・IT化とシェアドサービスで 人事は事業戦略機能へのシフトを加速

日本最大級の社員数を有する日立製作所は、ここ数年来、実力・成果による人事・処遇制度へのシフトをいっそう図ってきた。長年にわたる改革は、2004 年4月の一般社員を対象とした実力・成果による人事・処遇制度導入で一応の完成を見たといえる。この一連の改革を可能にしたのは、その開発が改革のプロセスそのものであったともいえる「Humanimate21 」システムと、人事業務のシェアドサービスである。
|Tによる世界トップレベルのマネジメントとサービスを提供

日立製作所は、2004 年4月より一一般社員に向けた新人事・処遇制度を導入した。これは既に管理職層に導入されていた実力・成果に基づく制度を一般社員にも拡大するとともに、成果を生み出すための「能力」や「行動・プロセス」をきちんと評価し、処遇していく制度とした点が特徴だ。
一方、人事・総務業務のオペレーション面では、既に2000 年4 月から抜本的な人事・総務業務改革を進めてきており、今回の新制度でのさまざまな事務の運用がスムーズに実施できたのも、皿化やシェアドサービスによる強力なサポートがあっだからこそといえる。シェアドサービスとは、複数の組織で実施している間接業務を1ヵ所の組織に集約・共有化し、業務負担をシェアすることで、業務の効率化とサービス向上を図る手法である。
2000 年4月、社内各部門における人事担当キーパーソンが招集され、「業務革新推進本部」が設置された。彼らのミッションは人事、財務、資材という管理部門の業務プロセスおよび制度を見直し、徹底的な効率化を目指すこと。
同社でも、人事・総務部門が抱える課題として、煩雑かつ大量な事務業務によって、人事がコアとすべき人事企画業務に十分時間が割けない、という問題があった。図表1を見ればわかるが、人事・総務部門が企画業務に割く時間が3~ 4割に対し、インプット作業や読み合せによるチェック作業といった事務業務に割く時間が6~ 7割と、業務の効率化や費用対効果を見直すべき状況にあった。
そこで「皿による世界トップレベルのマネジメント、サービスの実現」という目標を掲げ、「現場での業務完結」「費用対効果」「全社最適」「発生点入力とセルフサービス」「ナレッジマネジメント(知識の蓄積と再利用化)」[システム上での業務完結] という「6つの改革パターン」を設定し、「廃止・簡素化・統一・移管・システム化・統合化」という視点から、これまでの過去をいったん全否定したうえで、あらゆる人事総務プロセスを徹底的に再検討した。こうして自分たちの手で完成させたのが「Humanimate21(ヒューマニメイト21 )」システムである。部分的運用などを経て、2001 年9月には全社7万人の社員を対象に稼働を開始した。
発足より約1 年半で新システム稼働というこの動きは、「当社にしては、機敏な動きでした」と、人事ソリューションセンタの中窪知巳氏は当時を振り返る。「それができたのは、この改革がトップダウンでスタートしたからです。『とにかく、今やるしかない』という危機感がそれだけ強かったということだと思います」と中窪氏。
ユーザー一人ひとりの入力で自己完結できるシステム構築
Humanimate21 の大きな柱は、通勤手当などの各種手当申請、人材活用支援、人事異動・組織改正支援システムなど、エンドユースの「Humanimate21-ESS (Employee Support System)」と、福利・保険、人事情報管理、処遇管理といった基幹業務を扱うシステム、「Humanimate21-C0R 」である。ESS はユーザ(社員)が直接ログインして入力を行うフロント系のシステムで、「システム提供サービス」として捉えることができる。社員は自分自身でESS を使って、出張旅費精算等の事務手続きを行ったり、住所や家族情報の変更や、各種手当の申請手続きを行ったりする。また、本人自らの退職金の試算を行うこともできる(図表2、3)。