WAVE 損保ジャパン・システムソリューション 組織で人を育てる仕掛け 「コーチング制度」 研修を通して育成スキルを高める

2002 年7月に安田火災システム開発から社名変更し、新たなスタートを切った損保ジャパン・システムソリューション。井戸潔社長の下、風通しのよい組織づくりを進めてきたが、昨年より「人づくり」にフォーカスした「コーチング制度」を導入した。制度導入の目的は何か? 人材開発に対する考え方から、制度運営のカギを握る研修の内容にわたり話を伺った。
顔の見える社員になるための3つの力
損保ジャパン・システムソリューションの主な業務は、損害保険等の保険業務に必要なシステムを構築・提供することである。損害保険ジャパンのグループ企業であり、そのシステム部門の中核を担うO システム構築が主な業務とはいえ、求められる知識の範囲は広い。変化の速いIT の関連知識・スキルはもちろん、幅広い保険知識なども必要とされる。代理店からの要望を的確にキャッチする能力なども当然ながら求められる。
同社の企業理念は「お客さまの期待を越えることが出来なければ損保ジャパン・システムソリューションのビジネスとは言えない」。「お客さまが何を期待しているのかを常に意識することが求められます。損保ジャパンのグループ企業として、損保ジャパンを始め、他のグループ企業からの期待を一歩も二歩も越えていけるようなシステム、サービスをいかに提供できるか。そこが一番のポイントです」と、代表取締役社長の井戸潔氏は語る。
このような理念を掲げる同社が求める人材とは、どんな人材なのだろうか。井戸氏は次のように説明する。
「私は3つの力を持った人材を育成しなければならないと考えています。それは技術力、仕事力、人間力の3つです。単に技術に秀でているだけではお客さまの期待に応えるサービスは提供できません。高度な技術力も大切ですが、それを発揮するための仕事力、さらにはそれらを下支えする人間力がとても重要です。 IT の専門企業だからこそ、技術力だけでなく、仕事力、人間力の醸成を図っていきたいと考えています」
このことを井戸氏は別の言葉でも説明した。「私は社員一人ひとりに、『顔の見える社員』になってほしいと思っています。それは、社員一人ひとりが自らの得意分野(個畦)を確立し、社内ではもちろんのこと、このTT 業界のなかでも顔が見えるような活躍をしてほしい、ということです」。
動き始めたコーチング制度 意図するところは何か

こういった人材育成を実現するための一手として、同社では、新入社員に対するOJTを昨年より「制度」と改め、それまで入社2年目、ないしは3年目の社員が担当していたOJTトレーナー(コーチャー)の役割を、入社5年、あるいは10 年といった中堅・中核社員に担ってもらうようにしか。その最大の目的は、「新入社員の技術力・仕事力・人間力を育む」仕組みづくりだ。
「私か考える3つの力のうち、仕事力、入間力は、入社から3 年の間でどれだけ磨き上げられるかにかかっていると考えています。ここでつまずくと、その後の成長は一定のレベルで止まってしまいます。入社2 年目、3 年目の社員は、相談役としては十分に機能すると思いますが、技術力、仕事力、人問力という3 つの総合的な力を具体的に示し育成していくには、やはりさまざまな苦い経験を自分自身で積んできた、中堅・中核社員の力を借りる必要があります。経験豊かな社員を新人社員の教育担当としたのはそのためなのです」と井戸氏は説明する。