ケース2 オリエント信販 ボトムアップでの課題解決を志向し、 トップダウンとの両立で強い組織を目指す

オリエント信販では2000 年来、トップダウンの組織改革。経営改革を強力に推し進めてきた。同社では、その第2 段階として、「強い個人による強固な組織づくり」を目指して。ワークアウトの手法を導入したボトムアップ型の取り組み「セッション・ユナイト」をスタートさせた。なぜ、ボトムアップなのか。そしてどのようにワークアウトの手法を導入しようとしているのかについて同社の北野克也、野田貴の両氏に話を伺った。
強い組織づくりを目指してワークアウトを導入
オリエント信販は、組織活性化のツールとしてワークアウトを導入、ユニークな取り組みを開始した。
オリエント信販は、パーソナルファイナンスを本業とする企業である。2000 年に独立系投資会社のユニゾン・キャピタルによる買収を機に同社の下で組織改革に着手し、現在はまさに大きな変革の渦中にある。この改革の目的は「強い組織、強い会社をつくる」ということにある。
「当社はいま、ワークアウト導入の初期段階にあり、まだまだ試行錯誤が続いています」
このように語るのは、経営企画室部長の北野克也氏だ。
「ワークアウト」は1988 年、当時GEのCEO だったジャック・ウェルチ氏が提起した考え方・手法である。一言でいえば、できる限り現場に近いところへ問題解決と業務改善をエンパワーメント(権限委譲)し、迅速かつ集中的に意思決定することである。あるいは、①問題の本質をよく理解している現場に権限を委譲し、②立場を気にせずに率直に意見交換・提案のできる関係を築き、③問題解決を図り、新たなパラダイムを引き出す、といった問題解決のプロセスを指す。
ジャック・ウェルチ氏は当時、組織や個人の間に壁があるため、本質を捉えた問題解決策が取られることが少なく、そのために一見簡単に解決できそうな問題も、未解決のままになってしまうという問題意識を持った。こうした組織内の問題点を改善するために、組織運営に前述したような考え方を取り入れ、ワークアウトを実践する手法を整備した。
「ワークアウトの考え方や手法は、もともと製造業を前提につくられたものですから、当社のような業態にどのように適用させていくか、あるいはどのようにカスタマイズしていくか、まだまだ課題は山積していますが、何とか、当社ならではのスタイルをつくり上げ、強い組織づくり、組織の活性化につなげていきたいと考えています」(北野氏)
ボトムアップアプローチによる強い組織づくり
なぜ、オリエント信販がワークアウトの導入に踏み切ったのだろうか。それを理解するために、同社の近況と現状の組織課題について話を伺ってみることにした。