CASE プロミス 人財マネジメント・システムの導入で 企業価値の永続的向上を目指す
プロミスは2003 年4月に、成果主義の納得性を高めるため、社員の行動をわかりやすく指標化した評価制度を柱とした新人事制度を導入した。同時に人事情報を全社で登録・活用する人財マネジメント・システムも稼動させ、新制度の定着に取り組んでいる。
「価業」の評価であいまいさを排除
近年の金融業界の急激な変化のなかで全社的な構造改革に取り組んできたプロミスは、人事制度についても2003年4月に新制度を導人した。かねてから導入していた成果主義型人事制度をさらに徹底したものにし、社員の納得感を一層高めることが狙いだ。人事部主幹の大司武氏は、「人事制度をよりわかりやすいものにして、職場の現状にフィットする形に変えていきたいと考えていました」と語る。制度改革に先立って社員に行ったアンケートでは、配置異動や評価処遇に関する要望や意見が多くあかっか。なかでも一番多かったのが「評価の納得性の低さ」だった。
「どういったものなら社員に納得してもらえるか考えると、横文字を使ったり、あまり難しいことを言っても伝わらない。そこで、普段自分たちがしている仕事そのものを表出させることによって、それを評価に結びつける方法を検討しました。そして生まれたのが『イ商業』という考え方です」(大司氏)
価業は、仕事の一単位を表し、「付加価値を生む仕事」という意味が込められている。
9つあるそれぞれの等級ごとに代表的な価業が示されており、上司から価業のアサインがなされ、また自分自身の等級に照らし合わせて求められる価業を判断して日々の業務を行う。価業は業務によって3囗程度で終わるものもあれば3 ヵ月かかるものもある。個々の社員が取り組んだ価業をすべて表出することによって、期間中に行ったことを明らかにし、その内容をベースにして評価を行う。これにより、事実情報を基にした評価が可能になる。
「価業そのものが最終目標ではなく、価業の積み重ねが最終成果に結びつくと考えています。つまり価業はプロセスであり、特に管理者ではない一般社員については、最終的な目標数値の達成度のみで全体を評価するのではなく、プロセスを評価したいと考えました」(大司氏)
評価におけるもう一つの問題は、評価者と被評価者間のコミュニケーションが十分でないこと。同社ではマネジヤークラスの年齢層が年々高くなっており、若い部下との年齢差が広がっていることが要因の一つとなっている。
「事実で表されたことをしっかりと評価し伝えていく。この点を中心に制度を見直すことで社員の受け止め方が変わり、それが結果として社員の成長につながるような仕組みを目指しました」(大司氏)
事実情報の積み重ねである価業を中心とした評価制度にしたことにより、あいまいさを極力排除することが可能になる。あいまいさがなければ、ごまかしが生まれず、上司と部下の間で話もしやすい。また、等級ごとに行うべき価業を明らかにしたことで、自分より上の等級の仕事も把握できるようになり、このことは社員が自らの成長を促すことにもつながる。