連載 人事徒然草 第6回 近頃の若い者は!
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近頃の若い者は!](/wp-content/uploads/temp_image/5270/1547451922.png)
根岸のかまめし店で、プロ野球のストライキと新規参入が話題になり、常連客と話が盛り上がった。それにしても古田敦也選手会長の働きは見事だった。統率力・先見性・インパクトのある説得力・ストレスに対する耐性、そして統合凍結がムリとなれば直ちに新規参入の促進に方向転換する思考の柔軟注など、どれ一つとってもプロ野球組織側を代表する人々以上に経営者らしい見識を示すものであった。古田会長に率いられる各チーム選手会長の談話にも節度があり、統率のとれたものであった。メディアと世論を完全に味方につけ、長老支配の厚い壁を打ち破ることになった。
私はこれまでスポーツ選手に多少の偏見を持っていた。好不況に関係なく企業は体育会系学生を求めている。運動で鍛えた強靭な精神力、グラウンドで培ったチームワーク、部長・主将ともなればリーダーシップまで評価され、有用な組織人として期待される。
これに私は半信半疑で、仕事の場面での孤独な戦いには弱く、意外な精神的脆さを露呈すると考えていた。この偏見をあらためなければならない。真のアスリートは社会人としても立派だった。古田選手には個人的な思い入れがある。彼は私の末娘と同年で、川西市に住んでいたころ、清和台野球少年団の娘の友人たちが「また明峰ギャングスターのキャッチャーに刺されてしもた。それにあいつよう打つんや」とやっていた。後に、それが古田選手だとわかり家族一同納得したのだった。
新規参入に名乗りをあげた楽天の三木谷社長も古田選手と同年齢であり、彼等はまぎれもなぐ新人類” と呼ばれた世代に属している。一方のライブドア堀江社長に至っては、新人類からみても[あいつ等何を考えているかわからない] と嘆かせた宇宙人”世代である。若い起業家だちとアスリート、一見何も共通項はないのであるが、三者三様に社会の仕組みの透明性と納得性を追求している。これは三人に隕ったことではなく、同世代の多くの若者に共通する傾向になっている。
失礼なことに、企業社会ではつい先頃まで、彼等の世代をバブルの申し子としてお荷物扱いしていた。成果主義の登場も、初めは、バブル期犬量採用のなかからできる人を選別するための有力な手法である、がメディアの論評であった。イ叮のことはない、一部の財界の長老たちが、相も変らず権威主義・形式主義、果ては隠蔽主義に陥り、なす術なく手をこまねいている間に、その新人類たちの捕らわれない発想が、閉塞感の漲る日本社会に大きな風穴を開けてくれたのだった。