連載 現場支援のe-HRM 第6回 特別編 IT活用で人事・教育のビジネスプロセスを見つめ直す イベントリポート Real E-Learning イノベーション2004

今回は、10 月8日に都内で開催された「Real E-Learning イノベーション2004」の模様をリポートする。IT スキル標準(ITSS)やe-ラーニングを活用した戦略的人材育成をテーマに4つの講演が行われ、ITSSを活用したe-HRM の有効性が提示された。
1. IT スキル標準が、社員のキャリアと人材マネジメントにもたらす影響は何か
認知から活用の段階に来たITSS

当日は雨天にもかかわらず、皿企業の人事・教育担当者を中心に500 人以上の参加があり、今回のテーマに対する関心の高さをうかがわせた。
最初に、NTTソフトウェア 生産性革新センターの駒谷昇一氏による「IT スキル標準と人材マネジメン冂と題した基調講演が行われた。汀SS ユーザー協会のスキル定義ワーキンググループで主査を務める駒谷氏は、ITSSの内容について解説するとともに、人材マネジメントへの活用方法や、導入の際のポイントなどについて説明した。

皿業界に働く人の経験やスキルを表す共通の尺度として、2002年12 月に経済産業省によって定められたITSS は、情報サービス産業の労働者と経営者、ユーザー企業のそれぞれにとってメリツトがあるといわれる。労働者にとっては、自分のスキルの棚卸しができ、自分の強み・弱みや社内や市場における価値がわかり、キャリアパスを描きやすくなる。経営者にとっては、自社の人材の強み・弱みを把握できるため、人材戦略が立てやすい(図表)。
また教育投資の効果を定量的に把握することができるO ユーザー企業にとっては、調達の際にスキルを明確に把握できるとともに仕事の責任範囲や発注金額の根拠を明確にすることができる。「策定からほぼ2年が経過し、ITSS は認知の段階を越え、各企業でどう活用するかという段階に来ている」と駒谷氏は述べている。
ITSS 活用の留意点
駒谷氏の講演では、汀SS を活用するうえで留意すべき点がいくつか指摘された。
一つは「スキルの幅の留意」。日本企業では社員が複数の職種を渡り歩くヶ- スが多い。そのためITSS を人事制度に導入した場合、一つの職種の尺度で評価すると他のスキルが無視されてしまい、幅広いキャリアを持ったエンジニアが適切に評価されない可能性がある。
もう一つは「チームとしてのスキルへの留意」。実際の業務は個人でなくチームで対応しており、チームとしてのスキルをどう管理していくかが課題になるという。
また駒谷氏は、TTSS に対する誤解を解き、正しい理解を促すために、次の4点をあげている。
①「ITSSだけで人材評価は不十分」。
ITSS は一部のスキルを表しているに過ぎず、JAVA やOracle など製品固有の技術については触れていない。そのため、個別技術や業務履歴と併せて評価する仕組みが必要である。
② 「ITSS には2種類の尺度がある」。
ITSS には経験がどれくらいあるかを示す「達成度指標」と能力がどれくらいあるかを示す[スキル領域] の2つの尺度がある。例えば、経営戦略立案や協力会社の調達要件には達成度指標、人材育成戦略や社員の育成計画にはスキル領域といったように、それぞれに適した活用方法がある。また、レベルの低い人は経験が少ないためスキル領域が重視され、逆にレベルの高い人は達成度指標が重視される、
③「ITSSの導入はコスト削減になる」。
従来は多大な費用をかけて人事制度や教育制度を独自に開発しなければならなかったが、ITSS を導入すれば、そのコストカ消U減できる、また最近はITSS対応のシステムやスキル診断ツール、研修が普及しており、それらを共通部品として活用できる。