連載 人材と組織の強みを活かすAl 第12 回(最終回) 人間の全体性とAl
これまでのマネジメントの世界では、どちらかと言えば、左脳で考え、言語を媒介として、論理や理論を組み立てていくアプローチが主流たった。 AIは、人間や組織の持つ可能性を最大限に引き出すところに特徴があり、感性や表現力も重視している。連載最終回となる今号では、人間の全体性とAI の関係について考えてみたい。
appreciate の意味
Appreciate Inquiry を学んで以来、これを日本語でどのように訳すか、頭をひねってきたが、その難しさの根底には、appreciate という動詞の多義性が存在する。
appreciate の語源は、price ( 価格)やprecious (貴重な) に通じ、「価値あるものを評価する」というところにある。ここから「真価を見極める」「感謝する」あるいは「美しさ、おいしさを堪能する」といった意味が生まれていった。
AT の創始者David Cooperrider 博士のパートナーであるNancy 夫人は、芸術家であり、自然の物事のなかから美しいものを見出す、卓越した審美眼(appreciative eye)の持ち主だそうだ。
「すべての芸術作品のなかには、美が含まれている」
「芸術とは、美の思想が形あるものに翻訳されたものだ」