CASE 三菱電機情報ネットワーク e-HRM を利用したPDCA のサイクルで 社員のスキルマネジメントを実践
2003 年に2 社の合併によって生まれた三菱電機情報ネットワーク。合併以前からエンジニアのスキル向上が課題となっていた同社では、合併を機にe-HRM を活用したスキルマネジメントシステムを構築し、社員のスキル向上を実現している。
e-HRM の導入で社員の技術力向上を目指す
03年4月、ネットワークやデータセンタ、セキュリティなどの事業を行う三菱電機情報ネットワーク(旧MIND)とアプリケーションシステムの構築・運用サービスなどを行う三菱電機アプリケーションサービス(MD アプリ)が合併して生まれた三菱電機情報ネットワーク(MIND)。2社の合併後、社内の人材育成は、全社的な教育を担う総務部、技術者教育を担う技術統括部、営業教育を担う営業統括部の3 部門に分かれて実施されてきた。そのうち、e-HRM導入を中心になって進めてきたのが技術統括部だ。合併後の2 年間、技術統括部の副統括部長としてe-HRM導入に携わってきた明智憲三郎氏(現・情報システム室長)は、導入の経緯を次のように振り返る。
「e-HRMを導入したきっかけは、合併前にさかのぼります。MDアプリは、三菱電機の情報システム部門を前身とした若い会社でした。そのため、まだプロのIT 企業といえるほどの実力がなく、当初からSE の技術レベルを高めることが経営の大きな課題になっていたのです。そこで社内プロジェクトを立ち上げて検討した結果、単に教育講座を充実させるだけでなく、e-HRMをベースに社員のスキルを向上させる仕組みが必要だという結論に至ったのです」
「SEの技術力向上」というテーマには、社外資格の取得率を高めることも大きな課題として含まれていた。MDアプリはもともとユーザー企業の情報システム部門だったため、資格取得にそれほど熱心に取り組んでこなかったことから、取得率が低かったのである。
とはいえ、ただ教育講座を用意しただけでは、社員の学習意欲に結びつきにくく、教育効果も把握できない。効果を目に見えるようにするためには、個々の社員が、現状のレベルを踏まえて自らレベルアップ計画を立て、その計画に基づいてスキルアップを図り、結果を検証するというPDCAのサイクルを回すことが求められる。そのためには、個々のスキルレベルや保有資格、目標などの情報を一元管理できるデータベースが必要になる。
そこで合併を機に、技術統括部では技術者教育体系を構築。「教育を充実させるために社内で講師を調達するのは限界に来ていた」(明智氏)ため、教育事業を手掛けるグループ企業の三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)に技術者教育の講座事務運営をアウトソーシングし、その一環として同社のe-HRMを採用。合併した年の9月に、スキルマネジメントシステムをスタートさせた(図表1・2)。