連載 新しきは足下にあり 第21 回 「道の思想」が企業を変える
いま発想の転換が求められている
21世紀に入って数年経過し、早くも新世紀の様相を随所に見せてきました。
そうした傾向をより強く感じさせるのが、企業自体のあり方、および企業を取り巻く環境の変化です。
例えば、提供する価値の高度化とそれを生み出し提供する企業内部の状況との矛盾です。
もはや業界水準の商品やサービスでは、顧客はそれを価値と認めてくれません。つまりこれでは業績が上がらない時代となりました。
そこで企業は他社にない、より他社を上回る価値を提供しようと全力をここに投入し、競合各社と鎬(しのぎ)を削っているわけです。つまり夢を現実化して提供しているのですが、しかしその社内では担当者がもがき苦しんでいるのが実情です。このギャップが問題なのです。しかもこの勝負は終わることがないように思われます。それを思うと担当する社員は、こうした日常を続けることに疑問を持ち、やがて離職することになります。
ただでさえ、若い働き手が減少する傾向にあるのです。良い人材は一人でも多く欲しいのがこれからの企業です。そこでこの提供する価値の高度化と、それを生み出す内部組織のあり方の矛盾は、何としても解消しなくてはなりません。
なぜなら、顧客の要求はさらに高度化するばかりなのです。
この問題は、よくよく眺めるといくつかの問題が複合化していることがわかります。