連載 研修ファシリテーター入門誌上講座 第2 回 研修の全プロセスを見る視点

講師にとって壇上に立つだけが研修ではない。事前の準備から講習が終わった後のフォローアップまでをトータルで研修と捉えて臨むことが重要である。今回は、研修をトータルで行うための方法について解説する。

研修だけが研修にあらず
研修事務局からあいさつがあり、事務連絡が終わり、そして講師の紹介が行われる。おもむろに、参加者の前に立ち、研修の本番が始まる。
普通、「研修開始」のイメージといえば、そんな場面を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、「研修のプロセス」は、とっくの昔に始まっています。
まず、第一段階が「企画」です。各社の人事・研修担当者と打ち合わせを行い、ニーズを把握することが重要です。「管理職のマネジメント能力を高めたい」といった漠然とした要望に基づいて、通り一遍の演目を並べているだけではもはや競争になりません。
その会社の経営状況はもとより、管理職の年齢構成や部下の数、評価の方法や前後の研修予定など、講師が事前に把握しておかなければならない情報は類挙にいとまがありません。また、一口に「マネジメント能力」といっても、きわめて広い範囲を含むので、ここは自分の得意とする領域に引っ張ってくる提案能力が求められます。