連載 部下育成の新キーワード 関係性アプローチ 第6 回 最終回 提言編上司-部下相互が学び合う関係
発達的な人間関係
本連載は、双方のやり取りを通して、上司―部下両者がキャリアの段階にかかわらず、相互に学び合うことができるという「関係性アプローチ(Relational Approach)」(Hall, 1996)をキーワードに、部下育成についてひも解いてきた。
相互依存的な人間関係のなかで学び続けるというこのアプローチでは、人の発達とは、必ずしも公式的(一時的)教育・研修や、昇進ではなく、「継続的な学習であり、自己志向的で、そして関係的なものであり、仕事のチャレンジにおいて見出される」と定義される(同)。そして、その発達を支援するために、組織が提供すべきものは、「挑戦しがいのある職務」「発達的な人間関係(Developmental Relationship)」「情報とその他の発達的資源」であり、今回の連載では、このうち相互学習を可能にする「発達的な人間関係」として、上司―部下のかかわり合いに焦点をあてて述べてきた。