調査データファイル 第59 回 団塊世代の就業問題
団塊世代が60 歳を迎えることから多くの分野で問題が生じるのではないかと懸念される「2007 年問題」。約165 万人ともいわれる就業機会不足もその一つである。企業の雇用努力に頼るだけでは、解決することはできない。そんななか注目されるのが、最近急速に増加してきているNPO(非営利組織)。団塊世代が活躍できる就業の機会提供が期待されている。
1. 不足する就業機会
昭和40年代の高度成長期に労働市場に新規参入した団塊世代も、2007年から順次60歳定年に到達し始める。60歳定年到達とともに引退するという雇用慣行が続くと、豊富な技術・技能、経験、知識を持った人材が、企業社会から大量に流出していくことになり、多くの分野で混乱が起こるのではないかという懸念が生じている。いわゆる「2007年問題」である。
47~49年の3年間に生まれた団塊世代の人口圧力を確認すると、00年の国勢調査によれば、男性が344万7,405人、女性が345 万9,315 人、合計で690 万6,720人と約700万人となっている。毎年230 万人の新生児が誕生したことになり、最近の新生児が110 万人前後であるのと比較すると、人口規模は約2倍である。
60歳定年が一般化している現状が今後も続くと仮定すると、団塊世代が60歳代前半層になった時、どの程度の就業機会が不足するのであろうか。図表1(次ページ)は、現在の就業率が続くものとして、団塊世代が60歳代前半層になった時の就業機会不足を計算してみたものである。ただし、就業率が1 歳刻みで集計されていないため、団塊の世代を含めた5 歳刻みの予想である。
図表1の①は00 年時点の50~ 54歳人口であり、②は02年時点の就業率である。③は②の就業率を前提として①が60歳代前半層になった時の就業者数である。④は00 年時点の60~ 64歳就業者数である。⑤は③と④の差であり、現状のまま団塊世代が60歳代前半層に移行した場合の就業機会不足者数を示している。つまり、00年時点の団塊世代を含む50 ~ 54 歳人口が、02 年時点における60 ~ 64 歳の就業率を適用して60 歳代前半層に移行したとすると、その就業人口は00年時点の60 ~64歳就業者数を、どの程度上回ってしまうのかを計算したものである。
「2000 年国勢調査」と「2002年就業構造基本調査」を前提とした場合、団塊世代を含む50 ~ 54 歳層(1,044 万1,990 人)が60 ~ 64 歳に移行した時、男性は100 万6,891 人、女性は64 万5,401人、それぞれ就業機会が不足することが予想される。つまり、近い将来現状のままの雇用慣行が維持されると、団塊世代を中心としたベビーブーマー世代は、男性が約100 万人、女性が約65万人、合計して約165万人の就業機会が不足することが予想される。