連載 研修ファシリテーター入門誌上講座 第12 回 参加者を分析する方法

優れた研修講師は、参加者の状況に合わせて、内容や進め方を柔軟に変えることができる。研修の直前、あるいは開始直後の短い時間に参加者を分析する方法のヒントを紹介する。
聴衆分析から参加者分析へ
スピーチ・コミュニケーションの授業では、「聴衆分析」の方法が必ず紹介される。つまり、聴衆の服装や持ち物などから、SES(Socio -EconomicStatus:社会的・経済的な地位や立場)を推定し、それに合わせて話の展開や語彙レベルや比喩の使い方を変えていくことが大切であるとしている。
つまり、仕立てのよい服を着たインテリ層を相手にする場合には、理論的で高尚な話を行い、庶民的な聴衆に対しては、卑近で具体的なエピソードを多用すべきというのが定説だ。また、話し手は、聴衆の顔つきを見ながら、理解度を推し量り、スピードが速すぎないか、遅すぎないか、見きわめて、適切に調整することの重要性が強調される。
こうした定石は、もちろん今日の参加型研修にも適用可能だ。いや、むしろここまでは「常識」の範疇に入るだろう。
現代の研修ファシリテーターにとっては、まず「聴衆」(listeners)という消極的な呼び方でなく、「参加者」(participants)という能動的な呼称を用いることが必要だ。語彙選択には深層意識が反映するので、「聴衆」という言葉には「聞かせてやる」という態度が付随しやすいからだ。
「ノリ」の定義
そして、研修講師にとって、何よりも大切なのは、参加者の「ノリ」のレベルを見きわめることだ。「ノリ」というのは、まことにつかみどころのない、感覚的な言葉だが、「ノリの良し悪し」に関する認識は、講師業を経験した人の間では、ほとんどばらつきなく共通するものだ。