連載 ロジカルコミュニケーションのススメ 第4 回(最終回) 管理職のコミュニケーション力を高めて 組織の活性化を図る
管理職コミュニケーション研修の事例
会社組織全体においてコミュニケーション能力向上の教育を効率よく進めるためには、どの階層(新人、管理職など)から始めるのがよいだろうか? そして、それを組織全体に広げていくための方策はあるのか? また、どのような基準でコミュニケーション向上の取り組み成果をはかるのか?この連載最終回では、事例を通してコミュニケーション力向上による組織の活性化についてご紹介する。
まずは管理職から始めよう
連載第1回にもご紹介したが、われわれ日本人は、話がわかりにくくても、聞き手の理解力がないから話が通じないのだ、と思いがちだ。ましてや会社のなかでは、役職が上にいけばいくほどコミュニケーション力が低くとも、部下の理解力の問題だと上司自身が思いがちであるし、周りも上司の話のわかりにくさを指摘できない(図表1、2)。
しかし、会社全体ではもうこのような事態は許されなくなってきているのが現状だ。会社の活性を高めるためにも、上司とのコミュニケーションが必要であり、コミュニケーション力のある管理職が必要となる。
会社でポストが上がれば上がるほど特化した情報を持つことになり、その情報を活かした部下とのコミュニケーションが望まれる。
また、大企業になればなるほど、管理職にコミュニケーション力が低いことが、生産性のロスを大きくさせてしまう。商品は社内外のさまざまな部署、関連会社などのヒトとモノから組み立てられる。その潤滑油であり連絡役が管理職である。
その管理職同士、あるいは管理職とその部下がコミュニケーション力が低いばかりに意思の疎通を欠けば、生産性は目に見えてダウンする。出来上がった商品はバラバラになり、当然コストがかさむ。その結果、商品は高くなり、売れないことになる。管理職のコミュニケーション力の高さ低さは、実は「企業のコストに直接絡む大問題」なのである。
そこで、この管理職のためのコミュニケーション研修の実例として、東海東京証券についてご紹介したい。
東海東京証券では、事前のリサーチを行い、会社全体のコミュニケーションの核となっているのは管理職であると判断した。そして、その中核となる人たち全員にこのコミュニケーション研修を受講してもらうことにした。
実は、私たちにとっても管理職のコミュニケーション力の重要性に着目し、それに特化し、コミュニケーション力アップが実際どのくらい社全体に影響するのかを実証していくのは初めての試みだった。ここに、このきっかけを与えてくれた東海東京証券に感謝したい。