クローズアップ 米国Park Place Lexus 社 マルコム・ボルドリッジ国家品質賞受賞 の背景にあったものは? 働く人の満足がお客様の満足につながる
2005 年にマルコム・ボルドリッジ国家品質賞を受賞した米国Park Place Lexus 社は、従業員数420 名、2005 年度売上3 億8700 万ドル(115 円換算で約445 億円)。テキサス州ダラス周辺エリア2 店舗とインターネットで、レクサスの新車・中古車の販売、および部品販売を行うディーラーである。販売前と同様に「販売後」のサービスを特に重視し、顧客の不満解消のために社員1 人当たり250ドル/月の支出を認めるなど、現場対応型社員をエンパワーメントしている。この結果、2004 年度の顧客満足(CS)は、米国内213のレクサス店最高の99.8 %を獲得。2000 年から2004 年にかけて売上も51.3 %増加している。この驚異的な成功を支えているのが「従業員満足(ES)」である。
「働きやすい環境」から「働きたくなる環境」へ
外観からも高級感が漂う2 階建ての建物に入ると、正面が受付である。左側が新車販売のスペースになっており、6 台の車が展示されている。壁がなくオープンな雰囲気の店内には、ソファや瀟洒(しょうしゃ)な机がちょっとした間仕切りとともに配置されている。そこがお客様との商談スペースとなっている。
また、他のディーラーは床がタイル張りであることが多いが、パーク・プレイス・レクサス社(以後、PPL)では、すべての店の床にカーぺットが敷きつめられている。これは雑音を減らし、お客様にゆっくりと車を選んでもらうためだけでなく、お客様にとっても従業員にとっても、店というよりも「家」だと感じてもらいたいというコンセプトからだ。
「最高の商品を売るために、“最高の売り場環境”を用意することは、お客様のためだけではなく従業員のためにもなります」とPPL社社長のジョーダン・ケース氏は言う。
建物のいちばん右側は、サービス(点検や修理)の受付となっている。車に乗ってこられたお客様は、巨大な屋根の下に車を止める。するとホテルのポーターのようなサービサーに「○○様、今日はどんなご用件でしょうか」と声をかけられる。これは、車の後部に誰が購入したかがわかるナンバーが振られているからだ。
巨大な屋根は雨にぬれないだけでなく、強い日ざしもさえぎってくれる。そして、サービサーから冷たい水のボトルと携帯電話を受け取ると、具体的な用件を聞く個室に案内される。個室と言っても前面ガラス張りで非常にオープンな雰囲気の場所である。
車は、そこから正面裏側にあるサービススペースに移される。ここもまた屋内で、なんと冷房がきいている。日本のディーラーで、点検・修理を行う場所に冷房をきかせているところがあるだろうか。これは、サービスエンジニアが働きやすいようにとの配慮からで、1 列に10 台、それが4 列あり、同時に40台の点検や修理を行うことができる。この広大なスペースは汗と油にまみれた場所とはほど遠い。