人材教育最前線 プログラム編 後編 富士通 コンピテンシーラーニングで 中堅社員の「行動」と「意識」変革を促す 6 級昇級者研修
富士通グループでは20 代後半から30 代半ばまでを中心昇級年代とする「6 級昇級者研修」に「コンピテンシーラーニング」を導入している。コンピテンシーラーニングとは、求められるコンピテンシーを効果的に身につけさせる能力開発の学習手法。
前回は富士通におけるその導入背景とプログラム設計、狙いについて紹介した。今回は実際に導入した様子と現在のステージを振り返り、富士通グループの人材開発に関する今後の展望について紹介する。
その後の研修効果にも違い 新しいことへの柔軟な姿勢
九州の14社がコンピテンシーラーニングを第一陣で導入したのは2003 年。この“第一陣企業”はすでに2006年で4 年目に入り、研修実施に関して一定の成果が出てきていると実感している。FQSの永友昭之氏は次のように述べる。
「導入して4 年経つと導入以前の方と以後の方が出てきます。この両者を比べた場合、一種の頑固さ、新しいことに対する抵抗感などの点で違いがあると感じます。研修を受けてこなかった方は、年を取っていることもありますが、自分のやり方に固執しがち。どうしても融通が利かない部分があります。その点では若い方で研修を受けてきた方のほうが、気づくのが早く、助言やアドバイスを素直に受け入れるマインドセットを持っています。
その後の研修でもコンピテンシーに関わるコーチング研修などを実施していますが、それらの内容に関しても、コンピテンシーラーニングを受けてきた方は、以前聞いて理解したことの上に新たな理解を積み上げ、それを素直に短期間で行動に移していくことができます。一方、研修を受けてこなかった方は懐疑的な気持ちが強く、なかなか素直に受け入れようとしません。その後の研修効果という点でも、違いが出てきていると感じます」
研修は大事なポイントを潜在意識に植え付ける場
ただし実際に研修を受けた受講者が、その効果を“目に見える形で”実感しているとは必ずしも言えない。2006年に研修を受講した石橋希一氏はフォローアップを受けている最中。日々プロジェクトのサブリーダーとしての業務に追われる中で、「正直、フォローアップメールが来て、『あ、振り返りをやらなくちゃ』『リーダーシップ、そうだった』と思い出すような状態です。フォローアップは一年間なので、できればもっと期間が長いとありがたいのですが……」と正直な感想を語る(図1)。
一方、2004年に研修を受けた唐馬京子氏は、自分の中の「変化」を感じたと述べる。
「研修では学習習慣について、30項目を学びます。そのことで何をすればリーダーとして人を引き付けることができるのかがわかりました。その仕組みを論理的に理解できたのは、とても勉強になりました」(図2)