インストラクショナルデザイナーがゆく 第4 回 衛星回線を使ってケニアの教育者に 週1のID(インストラクショナルデザイン)授業を
日本にいながらケニアで指導
ケニアはアフリカ東部に位置する旧イギリス植民地。統計によれば、国土は日本の約1.3 倍、人口は約4 分の1で、赤道直下だけれど標高が1500m前後と高いため、緯度の割に気温・湿度ともに低い、らしい。首都の「ナイロビ」はマサイ族の言葉で「さわやかな水」を意味するというから、いわゆる熱帯雨林のイメージとは異なり、過ごしやすいところなのだろう。
この春、今までご縁のなかったこのケニアの教育関係者に、IDのセミナーを行った。週1回、8週間連続のプログラムで、対象は、アフリカ数学・科学・技術教育センターのマネジャーやスタッフと、関連機関の管理者たち約30人。東京とナイロビを結ぶJICA-Netのテレビ会議システムを利用しての遠隔講義である。
この研修は、JICA(国際協力機構)の援助でケニア政府が1998年から実施している、理数科教育強化プログラム(SMASSE)の現職教育研修(INSET)の一環。理数科教員の意識と教授スキルを上げることで、優れた人材を育成する“仕組み”をつくり上げることがゴール。
しかしながら、私のケニアに関する知識というのはたいそうお粗末で、マラソン選手の名前くらいしか浮かばない。これではIDの第1ステップである学習者分析、学習環境分析が非常に心もとない。ジョークもウケず、ケーススタディも現実とかけ離れたもので、シラーッとした空気が衛星回線を通じて流れてきたら、あぁ、どうしよう……。