データから見えること 人材・組織モデル転換の必要性
戦後から今日まで、日本企業の成長と確立を支えてきた日本型経営システムはその役割を終えつつある。日本型経営システムの中核には、終身雇用・年功序列、新卒一括採用・長期育成といった特性を備えた人材・組織モデルがあった。このモデルは過去20 年間の調整期を経て、再構築期を迎えようとしている。その変遷と今後の方向性について、データから読み取りたい。
20 年を節目とした変遷
日本企業およびそれを支えた人材・組織モデルは過去60 年間、およそ20年を1つの節目として変遷してきた。図表1 は生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)と実質GDPの5年ごとの伸び率を戦後から今日まで示したものである。
1940年代後半から1960年代後半までの20 年間は、日本型経営システムの「構築期」である。戦後の経済復興が開始され、20 年で日本は世界2 位の経済大国に発展するまで急成長を遂げた。この間、5 年ごとの実質GDP の伸び率は50%を越える急速な右肩上がりを示し、それを支えた生産年齢人口の伸びも10%前後の高い水準にあった。
その後、1980年代後半に至る20年間は、日本型経営システムの「確立期」といえる。今日の大企業はこの時期にほぼ大企業としての礎を確立した。戦後のベビーブーマー(団塊世代)も社会人となり、それがいわゆる人口ボーナスとなって右肩上がり成長を牽引した。円は変動相場制に移行したが(1973年)、円安水準は保たれ、日本企業の国際競争力の向上に寄与した。この間、5 年ごとの生産年齢人口伸び率は4 ~ 5%と安定し、実質GDP 伸び率も20%前後の高水準を保った。