データから見えること 教育訓練費の推移
“2007 年問題”に総称される団塊世代の引退の影響が見え隠れし始めたここ数年、人材育成に対する関心は日ごとに高まってきた。また、景気の回復を受けて、各企業の人材育成に関するニーズも右肩上がりになりつつある。そこで、“景気”と“教育への投資”の関係について、データから読み取りたい。
景気と密接にリンクする教育訓練費
筆者は人事制度改革や人材育成に関するコンサルティングを行っているが、ここ数年、景気の回復を受けてか、教育体系の整備や各種研修の実施といった人材育成に関するニーズの高まりを感じている。この「景気」と「教育への投資」の関連について、データを用いた検証を試みたい。
なお、教育への投資を表す指標として、厚生労働省が実施している「就労条件総合調査」にある、「常用労働者1人1ヶ月平均労働費用」の中の教育訓練費(※)の項目を用いる。
図表1は、日本の名目GDP成長率と教育訓練費(全産業平均)の推移を示したグラフである。1985年から1991年の期間でみると、GDP は年間約5%以上の成長率であり、この間、教育訓練費もそれに合わせて大きく増加している。その後、バブルの崩壊とともに経済の縮小が余儀なくされ、1995 年にかけてGDPの成長率は年間1%前後と大幅に低下する。この経済成長の鈍化を反映するかのように、1995 年の教育訓練費も大きく減少している。1998 年の教育訓練費は、ゆり戻しもあってか若干上昇するが、同年以降GDPがマイナスの成長率を示すようになると、これに呼応するかのように、2001 年には再度減少する。2003 年からは、GDPはマイナス成長を脱して安定的な上昇が見込まれるようになり、教育訓練費も大きく上昇している。