連載 調査データファイル 第73 回 雇用・人事システムの構造改革 大学生の就職活動Part2
就職活動の中でも、情報収集の場として、学生の意思決定に重要な役割を果たしている企業セミナー。
売り手市場に転換している就職戦線において、現在の学生は、企業に対してどのような情報を望み、また、どのような印象を受けているのだろうか。そして、企業はどのような情報を公開し、学生と向き合えばよいのか……。調査データをもとに検証していく。
1. 欲しい企業情報
大学生の就職活動と企業の採用選考は、お互いが不確実な情報を探り合いながら就職・採用の決定にいたるプロセスである。判断材料となる確実性のある情報量は、どんな人材なのかよくわからない企業よりも、事前にいろいろな企業情報を入手することができる学生のほうが、優位な地位にある。そのため企業は、情報の非対称性に悩まされることになる。
情報に関して優位にある学生だが、一般的に入手できる情報に加えて、どのような企業情報を欲しがっているのであろうか。
図表1は、学生が企業に公開して欲しい情報を示したものであるが、最も回答率が高かったのは「面接・選考のポイント」であり、次いで「残業や休日出勤の割合」「何が理由(ポイント)で入社を決めたか」「25、30、35歳賃金」「今後力を入れる事業」「入社1年以内の離職率」「辞めたいと思ったことがあるか、またその理由」「平均勤続年数」「産休や育休制度の利用率」などの順になっている。
学生が企業セミナーの担当者から、いかなる情報を入手しようとしているのかが垣間見えて、大変興味深い調査結果である。