人材教育最前線 プログラム編 SAPジャパン ビジネス拡大に向け人材開発を重視。 教育をニーズにマッチさせることが成功のカギ
ビジネス向けソフトウェア業界で、世界シェアNo.1 を誇るSAP。その日本法人であるSAP ジャパンは、2010 年までにビジネスサイズを現在の3 倍に拡張するプランを掲げている。
ここまで2ケタ成長を続けてきた企業の、さらなる挑戦はいかにして行われるのか?
カギはやはり人材開発にあるようだ。その陣頭指揮を執る同社人事本部長山宮脩氏と人事開発チームリーダー成田美紀氏に、具体的な取り組み内容や意気込みを聞いた。
社内教育キーワードは“そっ啄同時”
ビジネス向けソフトウェアの世界シェアNo.1を誇るSAP。1992年に設立されたSAPジャパンも、現在に至るまでハイペースで成長を続けてきた。2005年にはリージョングループであるアジアパシフィックに統合されたが、今年からそのリージョン名がアジアパシフィック&ジャパンに改称。同時に、2010 年までにビジネスサイズ3 倍売上倍増の目標を立てている。そのために必要とされるのは、年率で20%を超える高い成長率。いかに高成長を遂げてきた会社とはいえ、とても壮大な計画だ。そのための取り組みはどのようなものから始まっているのだろうか。
「弊社はパッケージソフトウェアのライセンスといった、目に見えにくいものを扱っています。このようなビジネスモデルから、経営資源の中で最も重要なものが人材といえるでしょう。ですから、その人材開発への投資、そしてそれを求める人が集まる土壌をつくり、Employer of Choice(選ばれる雇用主)を目指そうということになったのです」
社員が成長できる環境づくりを目指し、そして従来の人事管理中心からタレントマネジメントへ移行、人材開発を重視した戦略にシフトしていると、人事本部長の山宮脩氏は語る。
その実現のために、外部のサーベイにも積極的に参加している。昨年、日本ではじめて行われた「働きがいのある職場(Great Place to Work)」にSAPジャパンも参加、20位圏内にランクインされた。
「これまで日本では、新卒学生の人気企業ランキングなどはありましたが、この手のタイプの調査はありませんでした。しかし労働力の流動性が高まっている現在、この結果を重視し、今後さらに上位を目指すことで、人材の確保ならびに優秀な人材に選ばれる企業になることは、業績にも大きく影響してくるでしょう」(山宮氏)
ただ、目指すのは“働きやすい会社”ではない。“働きがいのある会社”だと山宮氏は力説する。自らの付加価値を高め、高いパフォーマンスを可能にし、業績に貢献する。結果的にそれが社員の満足につながる好循環こそが重要なのだ。