視点 転換期を迎えた時代が「人間力」を呼び起こした
ここ数年、「人間力」という言葉が、企業の教育や経営の現場に頻繁に登場するようになってきた。
いったい、今なぜ、人間力なのか。人間力とはいったい何なのか。
ここ数年に発表された調査や提言などを中心に、「人間力」を取り巻く環境、動向をみていきたい。
文部科学省の人間力戦略ビジョン
2002年に当時の小泉首相が掲げた基本方針に沿って、文部科学省は「人間力戦略ビジョン」を打ち出した。「人間力戦略」とは「新しい時代を切り拓くたくましい日本人の育成(画一から自立と創造へ)」と定義され、以下の4つの目標が設定された。
①自ら考え行動するたくましい日本人
②「知」の世紀をリードするトップレベルの人材の育成
③心豊かな文化と社会を継承・創造する日本人
④国際社会を生きる教養ある日本人
主として学校教育の現場を中心に、子供たち、若者層の学力不足や活力低下への対策としてスタートしたわけだが、ここから、頻繁に「人間力」というキーワードがさまざまな場面で登場するようになったといえる。
人間力を高める国民運動へ
この後、2005年に、当時の奥田碩・日本経団連会長の音頭によって、「若者の人間力を高めるための国民会議」が開催され、さらに「若者の人間力を高めるための国民宣言」を発表、国民運動として推進されていく。