HRD JAPAN 2008 開催に向けて 変化する企業の人事課題 今、目を向けるべきは「個人」
個人をいかに元気にするか
人事の原点と役割
HRD JAPAN 2008(第27回能力開発総合大会)のプログラムを見ていただくと、一昨年までみられた「成果主義」「報酬」といったテーマが姿を消し、「コミュニケーション」「キャリアサポート」「働きがい」といった、「個人」を中心に据えたテーマが多くなっていることに気がつかれるだろう。この流れは、成果主義の進展に対する1つの調整結果の表れでもある。
ここ十数年の人事施策は制度構築・導入に偏らざるを得なかったため、個人レベルへの支援は後手に回りがちであった。その意味で、キャリア、ミドル、若手人材、次世代リーダーなど、切り口はさまざまあるものの、いずれも「個の視点に立った現場の活性化」という共通の課題に応えようとしていることを踏まえておきたい。いずれの取り組みも、現場から人材を発掘し、互いにサポートし合おうとする「現場視点」が強い。
このように個人の領域へ人事が踏み込まざるを得なくなった背景には、モチベーションやモラルの低下、事業環境の変化等による人材の不適合の問題がある。言い尽くされたことだが、かつて日本企業の強さは現場にあった。現場を支える普通の社員は、少なくとも当時の状況において優秀であったが、その普通の社員が従来のやり方では成果を出せず、結果として地盤沈下を起こしている。
このような状況にあって、組織は個人に目を向けつつある。その中で人材に対する新しい視点、思想、そしてチャレンジが生まれつつあるのだ。