企業事例 ダーツライブ 急増する中途採用! 文化の違いを埋める共通言語をコーチングで醸成
企業創設から4年。急成長を支える中途採用者の数が増えつつある中、社内でのコミュニケーションが円滑にとれていないと危惧していた経営陣は、自主参加のコーチングにそのよりどころを見出した。
2007年9月からの取り組みで結果が出るのはまだ先になるが、その取り組みと過程での手ごたえ、今後への期待などを聞いた。
“共通言語”醸成のためにコーチングを導入
アミューズメント業界国内大手のセガからDNAを受け継ぐ形で、2003年11月に発足したダーツライブ。30歳代の社員が中心で、インターネットインフラをベースにエンターテインメントを提供する企業である。事業の主軸はDARTSLIVEネットワークサービス。全国各地のダーツバーに設置されているダーツマシンを通じて「個人と個人」や「場所と場所」をつなぎ、会員向けのサービスを提供するほか、ダーツ関連以外の新規コンテンツの開発、ブランド展開、各種イベント企画などを積極的に推し進めている。
そのダーツライブがCST(コーチング・スキル・トレーニング)を導入した理由は、急成長を続ける企業ならではのものだった。経営企画部部長の片岡宏之氏は導入を決めた当時をこう振り返る。
「同じ企業に長く勤めている上司と部下、あるいは社員同士の間には“あうんの呼吸”ができてくるものです。たとえば、上司が発した言葉に対して、部下も『この人はこういうことが言いたくて、こう言っているんだな』と受け取ってくれる部分があります。ところが弊社の場合、急激に中途採用者が増えたことで、上司と部下、あるいは同僚の間でそうした関係――共通言語がまだでき上がっておらず、相手が発した言葉の意図を汲みきれないということが起こりやすくなっていたような気がします」
ダーツライブはここ1、2年、急速に中途採用の社員を増強しており、片岡部長自身も2006年1月の入社だ。入社当時15名だった社員も、現在では70名を超えるまでに膨れ上がった。入社してくる中途採用者たちは新卒採用者とは違い、それぞれ固有のスキルを持ち、それまで勤めていた企業文化、職種、年齢などは多岐にわたる。会社設立当初からのプロパーは数人しかおらず、さまざまなバックグラウンドを持った人たちが集まってきた。
しかし、社内で共通言語といえるものが確立していない草創期のことゆえに、「自分がこう言えば、相手は当然理解してくれるだろう」と発した言葉でも、それが相手にうまく伝わらないという弊害が目立ち始めた。社員の多くがコミュニケーションのとり方に悩みを感じるようになっていたのである。
「CSTを導入したきっかけは、弊社社長の高谷がSMBCコンサルティング主催のコーチング・セミナーを受講したことです。高谷にとっては、よほど印象が強かったのでしょう。その後、コーチ・トゥエンティワンからご案内をいただいたこともあり、社内の共通言語欠如の現状を鑑みた結果、社長以下、幹部の意見が一致。マネジャークラス以上の管理職全員21名(当時)がCSTを受けることにしました」
こうしてダーツライブがコーチ・トゥエンティワンのCSTを導入し始めたのは2007年9月のことである。
“気づき”を重視した独自のプログラム
中間管理職のマネジャー以上全員が受講したCSTは、マネジメントに不可欠なコミュニケーションスキルなど、コーチングを実践的かつ効果的に習得するプログラムだ。126時間、31課程といった長期的なカリキュラムもあるが、ダーツライブでは今回、1回45分、全12回の短期集中型のCSTプログラムに臨んだ(図表)。