連載 組織を元気にするメンタルヘルス 第3 回 メンタルヘルスとキャリア開発支援、組織開発の統合 ファシリテーション的企業内ソーシャルワークの発想
なぜ、いま、企業内ソーシャルワークか?
「私たちの活動は、企業内ソーシャルワークである」という言葉が、なぜか耳に残って離れない。発言の主は、日本を代表する某メーカーの人事部門に設けられたヒューマン・リレーションズセンターの責任者。このセンターは「自律した強い個人」を理念とする新人事制度を踏まえ、「会社と個人のWIN―WINの関係という絵」を描く。キャリアカウンセリングや個別の労働相談全般のほか、職場の風土改革も自分たちのミッションであるという。その活動の特色を一言で「企業内ソーシャルワーク」と表した。社員に1対1でかかわり、気づきを促す一方で、必要に応じて職場に入り込む。環境調整、仕事の量と質の調整、上司へのアドバイスを行っている(『人材教育』2007年5月号「特集・日本型EAPとメンタルヘルスの統合」より)。
積極的傾聴、アサーション(自分にも相手にも有効な自己主張)、エンカウンター(本音で触れ合う場をつくる)といったカウンセリング心理学の専門用語は、すでに人事担当者にとってなじみ深いが、ソーシャルワークという社会学用語には新鮮な響きを覚えるのではないだろうか。