調査レポート「The Global Human Capital Study 2008」から 最優先課題はリーダーシップ能力開発! 世界共通の人事施策の課題・対策とは
世界約40 カ国、400 以上の組織に対し、どのようにして人財のパフォーマンスを高めているのかについて調査した「The Global Human Capital Study(GHCS)2008」の結果が発表された。この中で明らかになった全世界的な傾向と、日本の特徴や課題について、調査を行ったアイ・ビー・エムビジネスコンサルティングサービスのパートナー、執行役員・三巻由希子氏が報告する。
世界の人事担当者が悩む4 つのテーマが明らかに
2007 年3 月から5 月にかけて行われた「The Global Human Capital Study 2008」は、グローバル企業が自社の人財を、より競争力のある人財へ変革させるためにどのようなことを行っているかを理解することを目的とした調査である。世界約40カ国、約400 名におよぶ最高人事責任者(CHRO)と、人事部長クラスを中心にインタビューを実施。日本企業も37 社(9 %)が協力した。
調査対象企業の業種は、通信15 %、流通23 %、金融21 %、製造30 %、公共11%となっており、所在地、従業員数、売上規模、地域、参加者の役職なども多岐にわたる。この調査結果から現在、世界の企業人事担当者が重要と認識しているテーマとして、次の4つが明らかになった。
・変化への適応力の向上
・リーダー不足の解消
・有能な人財の獲得・保持
・人財分析を通じた成長の促進
日本企業に目立つ変化に対する適応力の低さ
まず、「変化への適応力の向上」である。昨今、変化の激しいビジネス環境におけるさまざまなプレッシャーの中で、企業はつねに対応を迫られている。自社の従業員に対してスキルを構築し、時には外部から人財を獲得することも視野に入れて、適応力のある人財を多数在籍させる必要がある。
調査報告を行ったアイ・ビー・エムビジネスコンサルティングサービスの三巻由希子氏(ヒューマンキャピタルマネジメントサービス担当パートナー、執行役員)はこう指摘する。
「企業が持続的な成長を続けるために考えるべきことは、次に必要となるスキルを見定め、そのスキルが社内のどこにあるかを見極め、スキルを持つ人々がコラボレーションできる環境をどうつくるかということです」
このことについて「御社の従業員にどの程度、変化に対する適応力があると思うか」という設問に、14%の企業が「適応力が非常に高い」と回答した。この企業の特徴を掘り下げてみると、①将来必要となるスキルを予測できる、②専門知識のある人財をよく把握している、③従業員相互のコラボレーションが効率的に行われている、という3つの点で高い傾向にあることがわかった。