重重無尽 研究室は中世のギルド 学びには競争と自主性が必要
私は1966年に初めてエジプトに行き、その後カイロ大学に留学しました。その頃は早稲田大学時代の恩師である川村喜一先生と1 年に一度発掘をしていたのですが、1978年に先生が亡くなられたため日本に戻り、古代エジプト調査室を引き継いだのです。この研究、組織を支えるにあたり、人材を育てること、場所を作ること、お金を集めること、広報活動の4つを考えました。
人材を育てないと組織は長続きしません。川村先生が亡くなった後、私がエジプト調査室を引き継がなかったら、そのままなくなっていたでしょう。ただ、場所がなければ人は来ません。当時は大学から教室をもらえなかったので、演劇集団を真似て校内にプレハブの研究室を建てました。大学からは退去を命じられましたが、交渉の結果、電気代だけ払えばいいということになりました。そして資金を集めるため、当時の村井資長総長を前面に立てて国内の企業を回ることになったのです。