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ASTD Global Network Japan創立記念
産学官・人材開発国際シンポジウム2008開催
●ASTDグローバルネットワーク・ジャパン運営委員会、日本経済新聞社
さる2008年3月11日、日経ホールにて「産学官・人材開発国際シンポジウム2008」が開催された。これは、アメリカの非営利組織ASTD(American Society for Training & Development:米国人材開発機構)のグローバルネットワークに、日本が26番めの国として参加し、「ASTD Global Network Japan」(以下、ASTDGNJ)を発足することを記念した国際シンポジウムである。
ASTDとは1944年に設立された組織で、アメリカを中心に約7万人の会員を持つ世界最大級の会員制組織である(本部:ヴァージニア州アレクサンドリア)。企業、大学、コンサルタントやトレーニング会社、教育機関、行政体など幅広い分野より多くの人々が参加して、訓練・人材開発とパフォーマンスに関する相互交流を行っており、世界の人材・能力開発部門や組織開発の向上に大きく貢献している。
企業と個人の関係がさまざまな要因から変容してきている状況は、日本に限ったことではない。世界では日本に先駆けてさまざまな研究や取り組みが行われており、そうしたリソースを日本でも大いに活用できるよう、ASTD-GNJが発足した。日本の人材開発や組織開発の未来をより明るいものとするために、企業や大学、公共団体など産学官の組織を横断的に束ね、非営利の団体として活動を広げてゆく。
シンポジウムでは、各界で活躍中の識者が集まり、最新情報の提供や、日本が今後向かうべき方向についてのディスカッションが行われた。以下では、特に注目が集まった第2部、第3部と第4部の様子を解説する。
■第2部 基調講演と本場ASTDに見る潮流
第2部では、「近年の日本の人材開発の特徴と課題」というタイトルで、リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏が人材開発をめぐる日本の現状と課題を整理。日本の人材力が低下しつつある現状を踏まえ、人材育成は社会全体、産学官が合同で取り組む課題となっていることを述べた。また、ヒューマンバリュー代表取締役およびASTD-GNJ理事の高間邦男氏が「アメリカのASTDにみるHRDの潮流」として、組織開発においてタレントマネジメントや、インクルージョン(組織に属して尊重されているという実感)が重要視されてきているという傾向を示唆した。
■第3部 パネルディスカッション1
「日本のグローバルリーダーシップの課題を探る」という議題で、中原孝子氏(インストラクショナルデザイン代表取締役・ASTD-GNJ理事)をコーディネーターに行われた。パネラーは、ウェイ・ワン氏(ASTD国際関係アジア太平洋地区担当マネジャー)をはじめ、プラシャント・ジェイン氏(ソフトブリッジソリューションズジャパン)、牧山クリストス氏(シリコンプラネット)、土屋恵子氏(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン)のグローバルリーダー4名。「日本人はもっとアジアでリーダーシップを執るべき。日本人指導者には自信と、将来に対する明るい見通しを持つ文化が必要」という共通意見のもと、「学生のうちからダイバーシティ理解のための環境が必要」「リスクを取ることについて学び、積極的、効果的に取っていったほうが良い」などの、具体的な提案が挙がった。
■第4部 パネルディスカッション2